ワシントンに出張中の石原都知事、爆弾発言をされました。政府も腰を抜かしたようです。
尖閣諸島は確か主な5島のうち4島が私有地でそのうち3島を埼玉県に在住の方がお持ちだったと思います。石原都知事は以前からこの方と間接的な「つて」でその土地の売買の可能性を探っていましたが、今までは所有者は売却に消極的でした。
しかし、今回の報道を見る限りではその土地売買交渉が進んだものと思われ、東京都の議会で承認されれば本当に買い取ることになるのかもしれません。もっとも今まで一般人の方が持っていたものが東京都に所有者が変わるということに表面的にはなんら問題はなく国や第三者がそれを差し止める理由もないでしょう。あえて言うなら何故東京都があれだけ遠隔地の土地を買うのかという理由だけだと思います。つまり都税を使うことの意義です。
金額的には1970年代の売買取引価格が4600万円程度だったようです。現在、総務省が所有者と賃貸借契約しており、その賃料が年間2450万円程度とのことですからそこから私が類推する市場価格は3-5億円程度ではないでしょうか?国が来年度も契約更新し賃料も入るのなら都税を無駄遣いするという側面が必要以上にクローズアップされることはないと思います。むしろ、石原都知事が何をもくろむのか、そこに全ての焦点が集まるかと思います。(純粋投資で仮に数億円なら買う人はいくらでもいるでしょう。一方で一部で報道されている10~15億であればちょっと高い買い物のような気もします。)
石原都知事がこの計画について発言のタイミングを考えての上だとしたら良く考慮されていると思います。理由は中国が今、動きづらい時期に入っているからです。秋の党大会に向け国内はその準備に追われています。現幹部は対外的問題にはあまり大きなことはしたくない時期にあります。ましてや薄氏とその妻の問題で中国国内と政治は大揺れであり、その間隙と狙ったとすればなるほど、ということになります。
では、石原都知事は何をしたいのでしょうか?私は発言権だと思います。別にあの土地に即座に何かモノを建設するとは思えません。土地の所有者としての地位から尖閣の領有を主張するのだろうと思います。都知事は漁業もある、と発言されているようですが、確か、地元の人は怖くてあまり立ち寄りたがらないという報道を以前読んだことがあります。
石原氏の新党構想は一度白紙に戻しました。それは結局、既存の政治家をベースにした新党ではワークしないという判断を出されてたからのように見えます。一方、橋下氏の発言が目立つようになってきた昨今、元祖カリスマ政治家としての血が騒ぎ出した、とすれば週刊誌ネタ的かもしれません。
今の国内政治が消費税と原発再稼動問題でほとんどの力を搾り取られ、更には二人の大臣の行方の問題を抱え与党としてはよれよれ状態になりつつあります。そんな中、外交を含め、本来やるべきことがおざなりになっている状態を見るに見かねず、自分から手を上げたとも感じ取れます。
もしも石原慎太郎氏に本当の「バディ」が必要ならばそれは小泉純一郎氏をおいて他にはないと思います。血は繋がっていないですが遠い親戚のようでもありますし。
日本の政治はいつも酷い状態でしたが、ここまで酷評されたこともあまりなかったかもしれません。特に民主党になってからも首相はポンポン変わり、小沢問題で党内はガタガタ、鳩山氏は不必要なイラン訪問と見るも無残な状態に陥っております。むしろ、東京、大阪などの都市のほうが明白なビジョンを持っており、すっきりしております。
今回の石原発言、大いに賛同、とまでは言いませんが、興味深い展開が起こりそうな気はいたします。今後の動きや報道に注目したいと思います。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2012年4月16日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった岡本氏に感謝いたします。
オリジナル原稿を読みたい方は外から見る日本、見られる日本人をご覧ください。