個人投資家を混乱させる「新しいNISA」

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来年からの新しいNISAの導入を控え、個人投資家の動きが慌ただしくなってきました。

先週末に開催された第18回世界の資産運用フェアにおいても、マネックス証券のNISAの専門家に説明をしてもらいましたが、新NISAへの参加者の関心は非常に高く、年末にかけてさらに盛り上がりそうです。

新NISAでは、非課税枠が更に拡大され、個人投資家にとっては、非常にメリットのある仕組みです。

国策として「貯蓄から投資へ」の流れを加速させるのが目的だと思いますが、なぜか複雑な制度になることで個人投資家は混乱しています。

例えば、これまでは、一般NISAとつみたてNISAがどちらか1つしか選ぶことができませんでした。

これに対し、来年からはつみたて投資枠と成長投資枠に変わりますが、今度は1人で両方の制度を使えます。

また、5年間で最大1,200万円の枠となる成長投資枠でも、つみたて投資枠と同じように積立で投資信託を購入することもできます。

投資信託を使って積立で資産形成する人にとっては、2つの投資枠を分ける必要はなく、ただ混乱するだけです。

さらに、来年からのNISAは今年までとは別枠になるにもかかわらず、NISA口座自体はそのまま引継がれます。

現在の一般NISAは来年から成長投資枠、つみたてNISAは来年からつみたて投資枠の扱いになるようです。

制度を2つに分けたりせずに、シンプルに年間360万円(5年間で最大1800万円)の枠を作り、その中で自由に投資ができるようにすれば良いのに、なぜ敢えて複雑にする必要があるのでしょうか?

私は、現在NISA口座を保有しているマネックス証券で、今年の年末までに現在使えるNISAの枠を使い切るつもりです。そして、来年から2つの枠を使って、毎月最大30万円のインデックスファンドの積み立てを続けるのが、ベストなNISA活用法だと考えています。

来年からは毎月30万円の積立するのであれば、成長投資枠で毎月20万円、つみたて投資枠で毎月10万円となります。

簡単には理解できない新しいNISAですが、使わないのはもったいないことです。

といっても完全に理解できないから手を出さないのではなく、まずは口座を開設して、あれこれ試行錯誤しながら初めるのが良いでしょう。

「走りながら考える」というスタンスが大切です。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2023年11月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。