名古屋大学の内田良教授の分析によると、教員採用試験における受験者に占める女性の割合が長期的に減少しつづけており、この「女性の教職離れ」が教員不足の大きな原因になっているとのことです。
小・中・高・特支、いずれも女性の受験者が大幅減です
今日投稿した記事で紹介できなかった図(各学校種別における男女別の受験者数の推移)を添付しておきます
小学校で女性の割合は4割切っていて
高校では2割切りそう▼教職離れが女子学生に顕著 分析#Yahooニュースhttps://t.co/h7ygM6MeXV pic.twitter.com/yf2fYEGAA2
— 内田良:新刊『いじめ対応の限界』 #学校依存社会 (@RyoUchida_RIRIS) May 4, 2024
かつては「女性が働きやすい」とされ女子学生からの人気を誇っていた教職ですが、今は小学校でも男性が多い職場になっているそうです。
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かつては女性が働きやすい職場の代名詞でしたが、現在の環境はあまりよくないようです。
正直なところ、今は女性が働ける環境ではないですね。小さな子供がいたら、祖父母でも近くにいない限りは普通に勤務するのは無理ですね。一昔前ならまだ何とかなったんですけどね。
— インド人チャダお (@indotyada) May 5, 2024
女性の減り幅が大きいのは確かな事実のようです。ただし、行政よりコンプライアンスが整っている民間の上場企業などに流れている可能性は排除できません。女性の社会進出という面もあるのかもしれません。
なるほど,確かに女性の減り幅が大きい。
大学のランク別も知りたいな。国立大や上位私大からの教員志望者が減ってるなんてことはないか。民間の上場企業に流れているとかで。 pic.twitter.com/jrunwHcWPD
— 舞田敏彦 (@tmaita77) May 3, 2024
大学の定員の変化もあるのではないかという指摘も。卵が先か鶏が先か、判断が難しいところです。
1989年小学校採用試験受験組です。当時は、40人教室に、一次は男性2人しかいませんでした。関西の私学で、男性が小学校教員免許取れる大学は、2校、女性は、短大も合わせると10校以上あったと思います。
免許証取得者の男女比の変化は影響していないでしょうか?— enomoto tatsuya (@enomototatsuya) May 4, 2024
入職者だけでなく女性の退職者も増えているのでしょうか。たしかに30、40年前は女性が生涯働ける職場は限られていましたが、いまは民間企業で総合職にもなれますし定年まで勤められます。
すでに自治体によっては教員採用試験自体が崩壊しているそうです。
熊本県が完膚なきまでに崩壊している。
小学校 0.83倍
中学校も、
国語 0.43倍
数学 0.50倍
理科 0.42倍
音楽 0.86倍
美術 0.67倍
技術 0.20倍
家庭 0.50倍4月24日時点ではあるが、来年度完全に詰むぞこれ。エグすぎる。#教師のバトンhttps://t.co/qrBSDzvcVS @ed_reseより
— ハナメガネ (@V6zgN9mvifif6Ob) May 1, 2024
文科省の対策のための対策は功を奏していません。
文科省
「教員不足解消のため対策します!!」
↓
「やりがいをPRします!」
「秋に追加募集をします!」
「免許がなくても教員にします!」
「教員採用試験日程を前倒しします!」
「退職した教員に戻ってきてもらいます!」
「中高生対象の教職セミナーを開催します!」… pic.twitter.com/YMwgurCPwy— 新田 龍 (@nittaryo) April 30, 2024
教員の苦境に対する保護者の気持ちも複雑なものとなっています。
子どもがもらってきた「学校だより」、はらわたが煮えくり返る。タイトルは「先生がいない!教員不足とは」「宿題丸付け、実習補助、校外学習引率のボランティアをお願いします」
ふざけんなよ。氷河期世代の教員採用絞っておいて、その世代が親になったら今度はタダ働きしろだ?絶対やりませんよ— 40代疲れたおっさん (@icchaeossan) May 6, 2024
ジェンダーの視点も大事な気がしますが、けっきょく公務員とくに教育公務員に労働法制の網がかからないということが問題なように見えます。
「長時間労働の忌避感などについて、ジェンダーの視点を主軸に据えた調査研究が急ぎ必要であることを、強調しなければならない」。
なるほどね。
— 舞田敏彦 (@tmaita77) May 3, 2024
現代の教員の仕事の難しさが社会に理解されているとは思えません。教育行政がその状況を説明してこなかったに面もあります。
なぜ『高校教員→中学校教員→小学校教員→幼稚園教諭&保育士』と給与が下がるのでしょうか。特に保育士は新人でもないのに手取り15万円程度など、日々の生活がギリギリの低賃金です。『幼児の相手は誰でもできる』と思われているのかもしれませんが、実際の労働に賃金が全く見合ってないと思います。
— Childish Teacher (@TeacherChildish) May 8, 2023
教職が「女性が忌避する職場」へと変容してしまったのは、女性の社会進出という時代の変化なのかもしれません。女性にとって歓迎すべき変化も、教育行政にとっては逆風となりました。
その変化に対応しようとしない文科省の無策と教育委員会の怠慢が原因であることは間違いないようですが・・・。