札幌市におけるコロナワクチン接種後死亡事例の全数調査分析(前編)

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コロナワクチン接種後死亡事例の偶発性を調べる場合には、報告バイアスが問題となります。 報告バイアスを回避する方法の一つが事例の全数調査です。

藤江成光氏が札幌市に情報公開を請求したことにより、同市のコロナワクチン接種後死亡の一定期間の全事例のデータが入手可能となりました。私も札幌市に請求して同じPDFデータファイルを入手できました。今回はこのデータの分析です。このような貴重なデータを入手できたことについて、藤江成光氏にはこの場を借りてお礼申し上げます。

このPDFデータファイルの集計方法を札幌市に確認しました。集計方法は以下の通りです。

1.2021年1月より2024年3月までの期間に死亡したすべての人をリストアップして、死亡日及び年齢をファイルに記載する。
2.リストアップされた死亡者の接種の有無を調べてファイルに記載する。
3.接種有りの場合は、最終接種日、ロット番号を調べてファイルに記載する。

まず、2021年4月~5月に接種を受けた65歳以上の人のデータよりグラフを作成しました。接種ありのデータを抽出して、最終接種日より死亡日までの日数を計算してグラフを作成しました。なお、死亡者数には季節的変動(冬は死亡者が増加)がありますので、過去のデータを用いて補正してあります。

死亡者は接種後0日~50日に集中しており、ピークは接種後10日にありました。死亡が偶発的に発生したとは言えない分布です。

このグラフは、この時期に接種を受けた人においては、 コロナワクチン接種と死亡とに関連性があったことを示しています。2021年4月~5月は、札幌市によれば高齢者施設に入所している高齢者に接種した時期です。おそらく全身状態が良好とは言えない高齢者に半強制的に接種したため、 死亡者が多数発生したと推測されます。

ノルウェーの高齢者施設では、コロナワクチン接種後に多数の死亡者が発生したことが報道されています。過去の私の分析においても、2021年4月の接種後死亡の発生率は突出して高い(2021年5月の約4倍)ことが明らかになっています。

次に、2021年6月~7月に接種を受けた65歳以上の人のデータより作成したグラフです。季節的変動は補正してあります。

2021年4月~5月のように死亡者が接種後0日~50日に集中していることはなく、死亡が偶発的に発生していることを示す分布です。このグラフは、この期間に接種を受けた人においては、コロナワクチンと死亡とには関連性がないことを示唆しています。2021年6月~7月は、高齢者施設に入所していない高齢者が接種を受けた時期です。この期間に接種を受けた高齢者は、全身状態は良好な人が多かったことが推測されます。

次に、2021年7月~12月に接種を受けた65歳未満の人のデータより作成したグラフです。季節的変動は補正してあります。

死亡者が接種後0日~50日に集中していることはなく、死亡が偶発的に発生していることを示す分布です。このグラフは、65歳未満ではコロナワクチンと死亡とには関連性がなかったことを示唆しています。

まとめ

  • 高齢者施設に入所している高齢者では、コロナワクチンと接種後死亡とには関連性が認められた。
  • 高齢者施設に入所していない高齢者では、コロナワクチンと接種後死亡とには関連性は認められなかった。
  • 65歳未満では、コロナワクチンと接種後死亡とには関連性は認められなかった。

今後検討するべきこと

  • 死亡日ではなく発症日でグラフを作成することも必要と考える。
  • 死因別にグラフを作成することも必要。札幌市からは死因データは提供されなかったため死因別の分析はできなかった。
  • 65歳未満(特に10代~40代)では、心筋炎、心臓死、不整脈死、突然死のデータでグラフを作成して分析することは特に重要と考えられる。
  • 他の都市のデータも検証する必要がある。
  • 遅発型の副反応は、この手法では検証は難しい。

最後に

札幌市に今回のような全数データ集計ができたわけですから、国も当然同様の全数調査は可能なはずです。したがって、国がこのような分析を実施しないことは、怠慢以外の何者でもありません。

ワクチン推進派は副反応の疫学調査は十分に実施されていると主張しています。しかしながら、偶発性の検証という観点からの分析 は甚だ不十分であると、私は考えます。

中立派や懐疑派が納得できるだけの十分な分析をした上で、 コロナワクチンの安全性を主張してもらいたいものです。

【佐藤正さんへ反論1】

>>ちゃんと人年法で計算した論文では、別に1,2回目の終末期施設でもリスクが高くない事
>>は多数の論文で報告されていますよ(例として)。

これは、接種群と未接種群の死亡発生率の比較の論文(コホート研究 あるいはSCCS法)と考えられます。

私が繰り返し主張していることは、「コホート研究で有意差がないことを、関連性がないと解釈することはできない」ということです。したがって、そのような場合には、推定原理の異なる偶発性の検証を試みるできです。発生率の比較の論文がいくらあろうと、偶発性の検証を実施しなくてよいという理由にはなりません。

なお、偶発性の検証には、SCRIデザインという既に認知された手法が存在しています。また、偶発性を調べるには、グラフを作成するだけで、おおよそのことは分かります。接種群のみが対象であり、その発生が不自然ではないかを確認するシンプルな手法です。

最初のグラフ(高齢者施設入所者)と比較するべきは、2番目のグラフ(高齢者施設非入所者)です。同じ条件でグラフを作成して、明らかな差が生じているわけですから、関連性を示していると、私は考えます。

偶発性の検証の話をしている時に、発生率の比較の観点で反論することは、意味不明です。自分が理解できないことを、すぐデタラメと断言するするのは、止めた方がよいと思います。

偶発性の検証に関しては、以下の論文を読んでください。
https://www.mdpi.com/2076-393X/12/5/555

【佐藤正さんへ反論2】

未接種群の死亡発生率が高い場合は、コホート研究では有意差がでにくいという問題。

高齢者施設では、もともと死亡発生率は高いと考えられます。
コホート研究では、コントロール群の発生率が高くなればなるほど、有意差が生じにくくなります。これは、コホート研究の重大な欠陥ですが、あまり認知されていません。

この例としては、流産が該当します。

https://agora-web.jp/archives/230330231609.html
コロナワクチンにおいての流産の安全性立証は悪魔の証明

したがって、高齢者施設の死亡発生率の比較の研究を無条件で信用してしまうことには問題があります。