どう見る、選挙後の株価:「11営業日連続で陰線」の意味

東京市場が冴えません。水曜日の時点で陰線が11本連続となりました。なぜかこの件はあまり報じられていませんが、市場専門家は一般ニュース受けしないと考えているのでしょうか?私はあるメッセージがあるとみています。

東京証券取引所 Wikipediaより

改めて説明すると陰線は株価の寄付きと引け値を見た時、引け値が寄付きより下回れば陰線、上回れば陽線になります。この意味するところは寄付きの株価に対して日中ずっとエネルギーが維持され、もっと買われれば陽線になるわけですが、陰線11本というのは市場にエネルギーが欠乏し、市場参加者が様子見に徹しているということです。

寄付き値は特別のニュースがない限り、北米での日経平均先物取引でおおむね想定できています。つまり東証が引けてから地球をぐるっと一周する間の様々な投資に関するニュースを吸収したうえで先物の価格が形成され、それがほぼトレースされる形で日経平均の寄付きを形成するのです。

何故、陰線が続くのか、これは明白に選挙、それと二次的に半期決算発表を待っているように見えます。決算は四半期ごとに盛り上がるので今回は選挙が主眼で、あえて言うなら海外資金は以前から申し上げているように中国政府が発表しそうな大型景気刺激策の行方を待っているように感じます。

選挙に関しては水物なので何とも申し上げられませんが、今は自民党が相当苦戦するだろうということを株価に織り込んでいるところです。今回の波動では既に日経平均は2000円ぐらい下げておりそろそろ売り飽きたところではないかと思います。あとは選挙結果が想定外の事態にならない限り、早ければ先回りで今日か金曜日が底打ちで買い、月曜日は台風一過となるとみています。

新しい経済をつくっていく決意を訴える石破茂首相 自民党HPより

ところで東京メトロが上場し、ご祝儀相場となりました。個人的に思うのは投資対象としては何も面白くない会社で利益こそ生み出しているものの、成長期待がほとんどなく、鉄道事業以外に応用範囲がないこの会社に個人投資家がそこまで群がるのはかつてのNTTブームと同じように見えます。ブームが去れば上澄みが剥げて下がります。郵政関連が上場した時と同じです。

東京市場が北米を含め、世界の市場動向に影響される度合いが高い中で中長期的に株価を見るならば景気循環が最大のテーマになります。アメリカの株価でみると過去、超長期波動はほぼ35年程度のサイクルとなっています。過去のピークは1929年、64年、99年で現在につながっています。ゴールドマンサックスはこれから景気懸念で下げ相場になるとしていますが、このサイクル説が正しければ30年代初頭までは新高値を更新できる感じには見えます。その根拠として金利が下げサイクルに入っており、当面は株価にはプラスに作用するとみるのが妥当だと考えるからです。

今日、カナダは事前予想通り0.50%の利下げをしました。EUも0.25ないし0.50%の利下げが見込まれています。アメリカFRBは0.25%の利下げが確実視されます。来年にかけて各国1.50-2.00%程度の更なる利下げを行うとみています。

一方、トランプ氏が大統領選を制する可能性が高まる中、前回の4年間のようなある意味破天荒なふるまいが可能なのか思案しているのですが、個人的には防御網が張られて無理な気がするのです。つまり世界はバカじゃない、だからトランプ氏が再び登場してもそれに振り回されないだろうとみています。彼の行く手を阻むのは中ロ北朝鮮かもしれません。小僧扱いだった金正恩氏も大人になり、お友達もできたのです。いつまでも遠い向こうの方と理念の話をするより金が稼げる西の皇帝様の方がよいと考えています。

欧州とアメリカの温度差も気になります。このブログで何度も書かせていただいた「バラバラになる世界」は確実に進化しています。中ロが主導するBRICSの会議がロシアで開催されていますが、過去最大級のレベルになっています。ただ新興国は必ずしも大国の傘を心地よいものだとは考えず、ある程度の自由度を求めてくれば西側にも東側にも所属しない第三極としてグループ化すると同時に宗教や慣習ベースで地域ごとのブロック化が形成されることもあり得ます。この場合は世界経済には極めて深刻なダメージとなるでしょう。

まとめると世界景気そのものは今後、それなりの維持ができそうに見えるが、政治的な計らい次第ではそれを打ち消し、サプライズが起きる公算もあるとみています。二つの進行形の戦争以外に火種があちらこちらにあり、国家や人々がエキストリームな動きをするようならばそれこそ明日のことすらわからないということになります。

株価指標は個別企業の株価の総和に重みづけ補正したものでありますが、個別企業を見ても不振のボーイングや新たに発覚したアームVSクアルコムの壮絶なリング上のバトル開始など、もめごとのネタは尽きません。安心安全な投資などないと思ったほうがよさそうです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年10月24日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。