新卒離職率34.9%!:新卒採用の構造的改革をすべき

野球のワールドシリーズが始まります。世紀の戦い、東西の雄、ドジャースとヤンキーズ、大谷とジャッジという組み合わせは野球ファンでなくても歴史的なこの頂上決戦に注目するのではないでしょうか?日本人の野球ヒーローはどこまで頑張ってくれるでしょうか?否が応でも応援したいところです。大谷さんもエンゼルスの時代にチームの不振に悩んだもののチームメートやファンに守られ移籍には長く悩んだと思いますが、光が当たる世界に行けばチャンスは広がることを証明しました。大谷さんも思っていることでしょう、あの時の決断は正しかったと。そう、ステップアップなんです。

では今週のつぶやきをお送りいたします。

テスラは確かにすごいのかもしれない

テスラの話をするとこのコメント欄が異様に盛り上がるのですが、以前から申し上げているように自動車に対する考えと選択肢は個人の自由であり、内燃機関のクルマもEVもそれぞれに特色があり、双方が批判の応酬となること自体が無意味です。ただし、一企業というベースでみると個人的にはテスラはポテンシャルを含め、お化けであると認めざるを得ないのです。なぜかといえば「自己進化していく能力」が備わっているからです。

この意味は技術革新が進む中でかなり先の将来まで見据えたプランを備え、人々の欲望の先を見ているのが同社の圧倒的強みであり、通常の自動車会社とは完全に一線を画すものです。ロボタクシー「サイバーキャブ」も普及するでしょう。同社の電池を使った燃料電池も普及するでしょう。同社の新型電池「4680型」は苦労しましたがようやく大量生産化に目途がつきつつあります。もちろん同社のEV車もさらに普及するでしょう。正直、バンクーバーで車を走らせているとテスラだらけで気持ち悪いのですが、車に所有者の個性よりもその技術や利便性を求めるならば実質主義である北米においてテスラがディファクトスタンダードになっていくのでしょう。アップルのスマホの様なものです。

ではなぜ既存自動車メーカーはなかなか勝てないのでしょうか?ずばり自動車メーカーだからです。テスラは技術創造の会社であり、他社の3歩も4歩も先に行くマスク氏の経営の自由度があるからこそ破天荒な事業を展開できるのです。7-9月期の決算は久々にゆっくり見ましたが、うーんと唸りました。一時EV車の売れ行き云々の話をしましたが、底打ちの感があり、再び売れ行きは回復しそうです。住み分けなのです。アーリーアダプターを虜にし、かつこれだけ次々「未来」を打ち出されると私は車の顔は嫌いだけど株ぐらいは欲しくなる、という気にさせます。

新卒離職率34.9%!

日経によると2021年度の新卒者採用者の3年以内の離職率が34.9%と16年ぶりの高水準だったと報じられています。新卒退職の「3年3割」は今世紀にはいってからずっと言われてきています。ずばり私は新卒採用の構造的改革をすべきだと思うのです。これは学生にとっても企業にとても大学にとっても意味あることです。大学が就職のための踏み台となり、早ければ大学1-2年の頃からめぼしい学生に手を付ける企業もあることに一種の怒りすら感じるのです。学生は大学に勉強しに来ているのだ、企業は自社の採用計画という我儘で学生を惑わせてはいけないのだと。

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「3年3割」の退職の意味するところは非常に重いのです。なぜなら学生時代に夢を託した社会人生活ができず、振り落とされたわけです。もちろん転職する方がほとんどでしょうが、新卒3年以内では専門的技術も能力も持っておらず、自分を売り込むにも何も身に着けていない状態です。転職しても前職と同等か、それ以下の待遇にならざるを得ません。しかも退職まで追い込まれたということはそれなりにメンタル的な悩みも抱えての話でしょう。これは誰の責任なのか、と問うと学生と企業のミスマッチでしたでは済まないのではないでしょうか?

企業では人事戦略上、「今年は〇人採用」が役員会などで方針決定されます。人事部はその方針どおり頭数をそろえなければ人事担当役員の能力には罰点がつきます。つまり頭数第一主義なのです。一方、学生は様々な業種の中で星の数ほどある企業から一つだけ選ばねばならないのです。学生時代に接した企業名なんてCMに出てくるところとかBtoCの企業ぐらいで実は陰の実力者であるBtoBは「へぇ、そんな会社あるんだ」なのです。学生の甘えもあるでしょうし社会人としての勉強不足もあります。テレビドラマのイメージで会社に入るも実社会は「だっせー」ということもあるでしょう。このギャップを埋めなければ「3年3割」の問題は永遠に続き、不幸な新卒者を生み出し続けなければいけないのです。

一線を越えた北朝鮮

北朝鮮がロシア軍の傘下になり、ウクライナ戦の前線に今月末にも投入されるようです。どういう形の参戦にしろ私は非常に憤りを感じています。それは国家として参戦したからにほかなりません。もちろん、言い分はいくらでもあるでしょう。ウクライナにはNATOをはじめとする西側諸国が武器を供与しているので「兵士と武器はどう違うのか」とか「ロシアはアフリカなどからの傭兵を雇っていたじゃないか」と。私から見れば武器も傭兵もそれは補完的なものであり、戦争当事者はロシアとウクライナなのです。基本的に第三者は前面に出てきていないのです。

金正恩氏の判断は明らかに間違っており、世界を惑わせます。これで戦争の枠組みが単一国同士の争いから複数国相手の戦いに変わってしまうからです。この論理が成立するならウクライナが協力国から兵士の支援を受けることもあり得、ウクライナを戦地とした関ケ原の合戦状態になってしまうのです。それでは停戦交渉どころではなく、それこそ世界大戦になります。ゼレンスキー氏は「戦略的停戦」を行い、北朝鮮軍との対峙をすべきではありません。

ところで国連人口基金がウクライナの人口推移を今週発表しました。戦争前の4300万人の人口は現在、3500万人に減っており、特殊合計出生率は1.0程度まで下がっています。停戦や休戦をしても国外に脱出した人が帰ってくる保証はありません。大陸人は狩猟民族であり、農耕民のような土地にこだわりを持たないのです。ということは広大な国家の復興すらままならないのです。ゼレンスキー氏は国家の100年の計を考えるべきです。停戦に際してウクライナが負けたというイメージを持たない配慮をすることでゼレンスキー氏およびウクライナの名誉が維持できる内容を早急にまとめ、停戦とすべきです。

後記
さまざまなコミュニティが集まったイベントが開催されました。酷い嵐の日でしたが幸い建物の中の開催だったこともあり思った以上に賑わいがあり、ステージでは10以上のエスニックのダンスやパフォーマンスが披露され、数多くのベンダーも参加しました。オープニングセレモニーでは日本国総領事や市長をはじめ5-6か国の領事館や要人が応援に来てくださいました。これを24歳の台湾系女子が一人で企画、コーディネートし、私は日本チームとして彼女を支えました。もちろん反省点は山のようにあるけれどチャレンジし、苦労し、イベントを成功裏に結び付けたその努力には拍手を惜しみません。「こういう気骨ある人、昔は日本人にも多くいたよなぁ」と思わずつぶやいてしまいます。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年10月26日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。