小選挙区で惨敗しても重複立候補で意外な人にもチャンス

小選挙区の情勢分析見て、自分の支持している候補が△くらいならともかく、▲とか無印だと、すっかり興味をなくす人も多い。

しかし、外れ籤の抽選みたいなもので、小選挙区で落選した候補にも、重複立候補している場合には、比例での復活のチャンスがある。しかも、惜しくも落選でなくとも、当選の可能性もあるのだ。

bee32/iStock

現在、小選挙区は289が定員で、比例は176が定数なので大雑把には小選挙区の6割くらいの定員である。2021年の総選挙での当選者数は、たとえば、比較的標準的な東海ブロックを例に取ると、小選挙区では自民22、立民6、国民2で、比例では、自民9、立民5、公明3、維新2、国民と共産が1だ。

自民党の場合は小選挙区で落選した8人全員が比例で救われ、さらに、比例単独の一人が議席を得た。それに対して、立民では小選挙区で26人が出馬し、落選した26人のうち惜敗率の高い5人だけが議席を得た。

今回の場合、自民は15人ほどが小選挙区で落選し、そのうち3人は重複の対象になっていないので、12人で7~8議席を惜敗率で争うことになる。

一方、比例単独候補は、選挙区が減ったりした影響で重複候補より上位に位置づけられている候補はいる。そのほかは、重複立候補者のあとの順位をもらうのだが、自民党が非常に強い地域では何人か当選できる。たとえば、杉田水脈氏は、自民党で小選挙区の落選者が非常に少ない中国地方で二回にわたって比例単独で当選した。

衆議院議員総選挙のしくみ 総務省HPより

一般に、立民など野党では、かなり惜敗率が高くないと当選は無理だが、今回はこれまでよりは、低い数字で当選できるかもしれない。一方、自民党の小選挙区落選組はいつもならかなり低い数字でも当選できるが、今回はそれなりの数字が要求されそうだ。

一方、自民・立民以外で、小選挙区で多くの候補を立てている党の場合は、どんぐりの背比べであるが故に、法定得票数である1割を上回れば、驚くほど低い数字でも当選する。

たとえば、維新では前回の選挙では、20%台で一人、30%台で2人が当選している。こんどの選挙でも維新については、引き続き、こういう低い得票率での当選者が出ることが予想される。

また、公明や日本保守は重複候補を持たないから関係ないが、参政党は小選挙区で当選見込みはないが、1議席を獲得するブロックはある可能性はあり、10%の法定得票さえ超えたら、かなり低い惜敗率で当選する候補者もいるかもしれない。

維新は東京では選挙の神様・藤川晋之介氏が支援する小野泰輔や阿部正などが激しい戦い。これまで記事で取り上げたことがある、埼玉14区で共同親権制度の創設に大活躍した渡辺泰之、兵庫9区の加古貴一郎なども比例ではチャンスは十分にありそうだ。

また参政党も上位は比例単独の大物が多いが、近畿では小選挙区立候補の足立悠司など三人の小選挙区立候補者を一位にして惜敗率を競わせているので、小選挙区でかなり低い惜敗率でもチャンスがあるということになる。

国民民主は比例での支持が伸びているので、小選挙区では苦しそうな井戸まさえとか、あの鳩山由起夫元首相の息子の紀一郎も可能性がないわけでない。支持者は諦めずに投票をよびかける価値がある。

一方、立憲民主党は小選挙区でも当選者を多く出しそうなので、かなり低い惜敗率でも当選が期待できる。民主党政権の亡霊が退去、永田町に戻ってきそうで憂鬱だ。

今朝も書いたが、米国でトランプ再登場かと言うときに、代替案もなく自公が過半数を失うようなことは国益に反する。懲罰を与えるにしてもほどほどというものがある。

【衆院選関連記事】