「自民党が非公認候補の支部に2000万円」の赤旗記事へ乗っかることの意味

思考を侵蝕されていることにも気づかないのか

「自民党が非公認候補の支部に政党助成金2000万円」の赤旗記事

10月27日に投開票が行われる衆議院議員選に関して、自由民主党が非公認とした候補者の居る政党の支部に対して政党交付金(政党助成金)2000万円が支給されていたとする報道。その発端は10月22日の日本共産党の機関紙であるしんぶん赤旗の記事でした。

これを受けて報道各社が報じています。*1*2*3*4「候補者本人ではなく支部に対して」という点に注意です。なお、これに対しては自民党が、当該政党交付金は選挙に際しての党勢拡大のためのものであり非公認候補者の選挙活動のためのものでは無い旨の反論・説明文を出したが、自民党東京都第24選挙区支部長の萩生田光一候補(非公認)が自民党執行部に対して、選挙中に政党交付金を支部へ支給したことに疑義を呈する動画をUPしています。

この話をどのように受けとめ、扱うべきなのか?

メディアによるアジェンダセッティング、報痴主義に思考を引きずられるのか

法的問題が無いのは大前提として、この話の出発点はマスメディアが作り上げた「裏金」イメージという実態を伴わない認識を歪める言論空間が最初にあります。

(非公認となった候補者は違法性の無い「不記載」であり、問題が無いという事ではないが、「裏金」や「脱税」という表現は余りにも実態からかけ離れている⇒参考

政党がメディアの創り出す空気を意識してダメージコントロールのために迎合的になるのは、ある程度は仕方がない。それだけメディア権力=メディアによるアジェンダセッティングの力、報痴主義が強すぎる。

それに否応なしに対応しようとした結果の「非公認」(この対応自体を問題視するのは有りだが、憲法上の二重処罰禁止や一事不再理効の問題ではない)。メディアや世論からの見え方を気にするこれまでの自民党の方針からして疑問を感じるのは理解できますが、その延長線上の話で、国民代表を送り出す政党・政治家の側を非難するのを対立候補や党内政局とも無関係な人がやるのは、どうなの?と。マスメディアや政局に基づく印象論に、自分の思考を左右されていいの?という問題だと思います。

岸田路線が嫌だったり石破や石破を勝たせた岸田が嫌だ、と思っている自民党員や支持者は突っ込みたくもなるでしょうが、メディアが流れを作ることそれ自体の問題、しかもこれ対立政党の機関紙が発端というのは民主主義にとって望ましい在り方なんでしょうか?国民の認識が引き摺られて良いんでしょうか?「非公認とした意味が無く、一貫性が無い」という批判が公約数的ですが、この話は最初から極めて「政治の判断」の領域で、一般社会の一般的なロジカルな話とはかけ離れた所の、メディアや外からの見られ方という虚数次元。そこに実数的な正しさをどこまで求めるべきなんでしょうか?もっとメディアからの見た目を気にしろ!と要求するんでしょうか?そんなことをしていったら、どんどん政党の取れる行動の幅が狭くなっていくでしょう。他党の党首とかはこれを奇貨として自民党を非難していますが、選挙なんでこれくらいはよくある事だろうと思ってます。党首は候補者の人生を背負ってるわけで、当選の有無で人生が変わる。だから彼らの当選に繋がることは何でもやる。というのは大前提として、そういう目先の利益とは別に、より根源的なところでの政党の価値を毀損してやいないか?というのは、心に重しとして持って頂きたいなとは思っています。それって後々に跳ね返ってきませんか?共産党+マスメディアに乗っかる言論空間、あんたのとこがされたらどうなんですか?と。

共産党に思考のイニシアチブを奪われた「ステルス公認・偽装表示」という現実無視

「非公認だから金出すのはおかしい、ステルス公認・偽装表示だ」

こういう批判がありますが、金が非公認候補者の選挙活動に使われているのか否かはどうでもいい話です。

例えば、都道府県知事や市区町村長の首長選挙では大阪維新以外はみな無所属からの出馬ですが、党公認ではないが特定政党が支援・推薦をして党本部から資金が支給されているのは公然の事実です。それを「偽装表示」とはいわないですよね?

先般の東京都知事選でも蓮舫氏が立憲民主党をわざわざ離党してまで無所属で出馬してましたが(本来、そんなことをしなくとも無所属出馬は可能)、立憲共産党からガッツリサポート受けてましたよね?*5*6

つまり、「選挙における政党の非公認」の意味は必ずしも「絶対に支援しない」という意味ではないというのは、普通の生活をしていれば分かる話なんですよ。だから、今回の政党交付金は萩生田氏なんかは「気づいてないから使ってない」と言ってますが、本来的には『使っていたから何?』という話です。

今般の選挙でも例えば今般の衆院選の萩生田光一の街頭演説を見てみれば「自由民主党公認」の候補者の応援弁士と一緒に演説カーに上がって、垂れ幕に「自由民主党公認 ●●」みたいに書いたものが掲出されています。最初から「偽装表示」「ステルス」なんてしてないんですよ。