保守派の「玉木雄一郎首相」への期待は日本政治を劣化させる

ある世論調査の政党支持率が、選挙前に比べて自民党が9.3減の24.6%、国民が7.6%減の9.1%だそうだ。総選挙比例代表における国民民主党は、3.5%から8.0%に増加しているが、これも自民党から奪ったものだ。

さらに保守派のなかには、石破茂首相でなく玉木雄一郎首相のほうがいいと言っている愚か者もいる。

玉木雄一郎代表 国民民主党HPより

たしかに、細川連立政権の成立で下野した自民党は、社会党の村山首相を、押し立てて政権に復帰した。あのときは、自民党は過半数からほど遠かったし、社会党は小沢一郎の新進党結成からはずされて行き場を失っていた。

だから、双方にとって窮余の一策だったし、そのことによって自民党から社会党に支持者が移ったわけでない。

もし、これで玉木首相にしたら、自民党支持者が増えるのか?そんなはずない。国民民主党に移ったかなりの部分は、二度と戻ってこないだろう。

また、国民民主党にとってはあまりにも自民党に接近することが、長期的に得とは思えない。国民民主党にとって長期的な目標は、野党第一党となり、さらに政権をとることのはずだ。そのためには、立憲民主党の分裂を誘い、有利な条件で維新などを含め、民主党政権の反省を踏まえた中道リベラル政権をつくることのはずだ。また、連合を主要な支持勢力とすることは変えられないはずだ。

一年前なら、じり貧から脱出し、玉木代表が将来は自民党に移るような可能性も含めて生き残り作戦をということも合理性があったが、いまとなっては、野党第一党を狙えるのだから、右に寄りすぎて、第2自民党になる合理性はあまりなさそうだ。

そもそも、現在の自民党には元新進党系の政治家が多すぎる。石破茂、高市早苗という総裁を争った二人がいずれも元新進党だなんてブラックユーモアだ。二階俊博もそうだ。平井卓也もどうだし船田元や今回落選した小里泰弘もそうだ。

加藤勝信や西村康稔も、その岳父である加藤六月や吹田愰は新進党にいた。

民主党からも、松本剛明、山口壮、細野豪志、長島昭久、鷲尾英一郞、井上義行、仁木博文が移っている。

これでは、野党代議士になってから自民党に移るのが王道ということなのか。与党のためにも野党のためにもよくないことだ。