大企業に勤めていても副業が推奨される今、起業に興味を持つ人は増えています。そんな中、常に注目されているのが資格の取得。すでに資格を持っている人はもちろん、資格を取って独立したい人や資格に興味がある人に必読のQ&Aを、経営コンサルタントで士業(特定行政書士)でもある横須賀輝尚氏の著書『資格起業バイブル』から、再構成してお届けします。
小さな自己投資では、小さな成長しかできない
Q:経営研修やセミナーに参加しようと思いますが、高額のセミナーに出る勇気がありません。
士業も営業が重要ということは知っていますが、いざ高額のセミナーに出ようと思うと、二の足を踏んでしまいます。高い金額のセミナーに出る必要って、本当にあるのでしょうか? ビジネス書だけでは足りないでしょうか?
士業に限らず、成功している人はセミナーや教材の種類にかかわらず、高額の自己投資をしている例が非常に多いです。もちろんすべての成功者が自己投資をしているわけではないと考えられますが、何も学ばずに成功するのはやはり一部の天才の話であって、経験も知識もなければ学ばなければなりません。
そして自己投資をしようと決めたとき、ひとつ出るのが今回の疑問です。「多額の自己投資なしには、成功できないのか?」というものです。
たしかに「学ぶ」という点では、ビジネス書で学んでも、セミナーを受講しても違いはないように思えます。しかし、もしあなたが「できるだけ早く成功したい」と考えていれば、ビジネス書もよいですが、ある程度高額のセミナーやビジネス教材に投資することをお勧めします。
高額の自己投資をする利点は2つあります。
ひとつは鮮度が高く濃いノウハウや情報が手に入るというものです。たしかにビジネス書は手軽な金額でさまざまなことを学ぶことができます。
しかしながら、「書籍」という性質上、どうしても情報が劣化しがちです。もちろん永久不変の基本原則などはあり、本には本の役割がありますので、書籍を否定するわけではないのですが、特にインターネットに関するノウハウやサービスなどは、下手をすると著者が執筆中に新しいものに変わってしまう可能性があります。
そして、ビジネス書は伝える情報量に限界があります。一般的なビジネス書は約200ページです。さらに自ら読むことをしなければ、永遠に知識の習得はできません。
これに対して特にセミナーは、リアルタイムで講師が伝えますので情報の鮮度もよく、そして半ば強制的に聞く機会を設けることができるため、知識の習得という点では結果として費用対効果、時間対効果が向上することになります。
つまり、高額セミナーを受講することは「勉強の効率を上げ、短期間で濃縮された良質な情報・知識を手に入れる」ことに他なりません。もちろんすべての高額セミナーが充実しているかどうかは、受けてみなければわからないということもありますが、実際の受講者から評判を聞いたり、ウェブ上で評価を調べたりして、受講するのがよいでしょう。
もうひとつのメリット、それは「意識の変化」です。
もし、あなたが資格を取る際に予備校に通った経験があったとしたら、それなりの受講料を支払っているはずです。その際、決して安くない代金を支払ったと思いますが、そこで「これだけ払ったのだから、絶対に合格しなければ」と意識が変わったことはありませんか?
実際のところ、意識の変化というのは抽象的ですが、見えているもの以上に重要です。どれほど驚異的な量の経営知識を持っていたとしても、結局のところそれを使いこなすのはあなたの意識であり決意です。ですから、自己投資をするということは知識を習得することの他に、「意識を変える」という重大な意味を持っているのです。
私が変化したのは、自己投資の桁を増やしてからだった
なぜ、そのようなことが断言できるのか。それは、私自身が体験したからです。
私も開業当初は資金に余裕がなく、自己投資を控えていました。幸運なことに近くに市営の大きな図書館があったため、ビジネス書を読むことはできましたが、それでも最新刊をすぐ読むことは難しい状況でした。
そのため、少しずつセミナーなどに参加するようになりました。最初は無料や1,000円、2,000円などの安い受講料のセミナーに参加していました。
しかし、この金額のセミナーはすべてがそうだとはいいませんが、単なる会社の事業説明会だったり、自社商品を売るためのいわゆるフロントエンド商品だったりすることが多かったのです。もちろんなかには収穫のあるセミナーもありましたので、選択によって変わってきますが、当たり外れの差が大きいと感じました。
そこで、成功者から「高いセミナーに出たほうがよい」という話を聞き、思い切って5万円のセミナーを受講しました。もしこれでまったく効果のない、役に立たないセミナーだったらこの5万円は社会勉強代だと考えよう。そう思って参加しました。
そして、支払いを銀行振り込みで行うときはギリギリまで悩みましたが、振り込んだあとは「聞き漏らしがないよう、真剣に聞こう」と意識が高まってきました。
結果として、このセミナーに出たことで、「自分は今までどれだけ遠回りな勉強をしていたのだろう」とこれまでの行為を後悔するくらい、大きく意識が変わりました。
本10冊、20冊では効かない情報量、知らなかった最新のノウハウ、そして受講者もそれぞれが講師をしてもおかしくないほどの人たち。そういった人たちとの出会いは大きな刺激になりましたし、今でも経営上のパートナーとして関係が続いている人もいます。
まさに、たった1回の決断が、今につながっているといっても過言ではないのです。
1,000万円稼ぎたい人が、1万円の投資もできないというのは矛盾している
「意識が変わる」というのは感覚なので、言葉では非常に説明しにくいところでもあります。しかし、年収1,000万円以上ほしいと考えているのにもかかわらず、自己投資に数万円程度のお金がかけられないのでは、将来大きな事業投資も難しいのではないかと思うのです。
私自身、こうした自己投資を繰り返すことによって、比較的早い段階で売上1,000万円を達成できたと考えています。広告費をかけなければ仕事も短期間では増えていかないように、あなた自身の成長も、お金をかけなければスピードを上げることはできません。
もし、あなたが短期間での成功を考えていたら、こうした自己投資は必須です。支払ったお金は、倍にして回収しましょう。事務所を経営していく以上は、こうした勉強費用は「経費」ではなく「投資」として意識すべきなのです。
■
横須賀 輝尚 パワーコンテンツジャパン(株)代表取締役 特定行政書士
1979年、埼玉県行田市生まれ。専修大学法学部在学中に行政書士資格に合格。2003年、23歳で行政書士事務所を開設・独立。2007年、士業向けの経営スクール『経営天才塾』(現:LEGAL BACKS)をスタートさせ創設以来全国のべ1,700人以上が参加。著書に『資格起業家になる! 成功する「超高収益ビジネスモデル」のつくり方』(日本実業出版社)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、『士業を極める技術』(日本能率協会マネジメントセンター)、他多数。
会社を救うプロ士業 会社を潰すダメ士業 | 横須賀輝尚 https://www.amazon.co.jp/dp/B08P53H1C9
公式サイト https://yokosukateruhisa.com/
【関連記事】
■ 士業はスペシャリストを目指すべきなのか(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■ 起業あるある「周囲の反対」どう切り抜ける?(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■ 「知らない」では済まされない士業がやっている地道な準備(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■ 士業の開業時に揃えるべき設備、判断の基準は?(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
■ 独立開業する士業はオフィスを持たないと成功できない?(横須賀輝尚 経営コンサルタント)
編集部より:この記事は「シェアーズカフェ・オンライン」2024年10月18日のエントリーより転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はシェアーズカフェ・オンラインをご覧ください。