一戸建てにはやっぱり住まない方が良い

東京の都心部のタワーマンション(タワマン)の価格はここ数年で急騰し、もはや1~2億円程度ではロクな物件が買えなくなってしまいました。タワマンに比べ価格上昇率の低い一戸建てが相対的に割安になり、こちらを検討する人も増えてきたように見えます。

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一戸建てにはマンションには無い魅力があります。隣の家とは離れており、上下階にも他人は住んでいませんから騒音に気兼ねすることなく暮らせ、隣の音に悩まされることもありません。

また、低層ですぐに外に出ることができます。私はマンションの高層階が苦手ですが、高所恐怖症ということだけではなく、地上階に降りるまでのアクセスの悪さが好きになれないからです。

更に、マイホームとして新築で一戸建てを建てれば、自分が好きなように建物の構造や間取りを変えられます。

私も目黒に戸建てを新築した時は、お風呂にジャグジーを付けたり、キッチンを特注にしたり、ビルトインワインセラーを作ったりと予算次第でやりたい放題でした。車庫も平置きですからベントレーのような大型車も購入することができました。

一方で、一戸建てのデメリットとしてはゴミ問題と寒さ問題があります。

一戸建てはゴミの収集日が地域によって細かく決まっており、その日に家にいないといけません。マンションは通常は各階にゴミ捨て場があっていつでも捨てられます。

またマンションに比べて気密性が低く、構造にもよりますが私が住んでいた家は冬は底冷えを感じました。

そして、一戸建てに住もうと思わない最大の理由は防犯です。

マンションは高層階であれば玄関以外からの侵入は簡単ではありませんが、戸建ては窓からでも侵入できます。セコムのような警報を設置しても、駆け付けるまでに時間がかかり実質的な意味はあまりありません。

最近の犯罪を見ていると、振り込め詐欺のような従来多かった事件が警察の対策や一般の認知度の高まりで実行するのが難しくなっています。また、闇バイトも取り締まり強化によって日本人で巻き込まれる人が減っています。

それに伴い、外国人が加担するような住居に侵入して金品を奪う凶悪な犯罪が増えているように見えます。このような犯罪で狙われるのが一戸建てです。

防犯対策の甘い一般の一戸建てがこれから犯罪のターゲットになり、保険料も上昇。いずれ住居としてのリスクの高さから敬遠されていくことになると予想します。

要塞のような建物に住むこともできず、セキュリティにお金をかけられない人は、これからは一戸建てに住まない方が良いでしょう。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年1月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。