DeepSeekを警戒して使わないのは当然?それとも過剰反応?

生成AI としてChatGPTを超える低コスト高性能さが話題になっている中国のDeepSeekですが、どんなものだろうと思って実際に使ってみることにしました。

使い始めるのは簡単です。ネット上で「DeepSeek」と検索し、メールアドレスなどの必要事項を入力し、6桁の認証番号がメールに届いたら入力するだけです。

アメリカからのサイバーアタックで新規登録が制限されていると報じられていますが、手続きには支障なく10分後には使えるようになりました。

日本語で質問すると瞬間的に回答が表示され、箇条書きでテキスト生成されます。最後にはまとめまで掲載されました。

ChatGPTを最初に使った時も同じような衝撃がありましたが、DeepSeekの方が更に回答が洗練されているように思います。

ヘビーユースしている友人も「ChatGPTは優秀な部下って感じでしたが、Deepseekは優秀な同僚(あるいは上司?)って感じです」「ChatGPTよりDeepseekの方がthink out of the boxって感じです」と感想を送ってきました。

これだけのスペックのAIの利用が無料というのは信じられません。質の悪いコンサルタントよりは迅速にコンパクトにまとまった回答が得られます。

もちろんChatGPTと同じように情報の正確性については保証されていません。情報を鵜呑みにすることは危険です。

しかし、自分が知見を持っている分野であれば、アウトプットを自分の知識で精査することができます。上手に活用すれば有能なサポート戦力にすることができます。

中国企業が作ったDeepSeekには批判やリスクを指摘する人がいることも知っています。収集された情報は全て中国国内のサーバーに保存されるとされており、これが脅威だという意見です。

例えば、中国企業なので個人情報漏洩などのセキュリティ上の不安があるという意見です。しかし、一般的な質問をする限りは個人情報は関係ありません。

例えば「フジテレビ問題はどう解決するのでしょうか?」「アクティブファンドとインデックスファンドはどちらが良いですか?」といった質問なら個人情報収集の大きな問題にはなりません。

仕事のデータを使ったりすればリスクがあるでしょうが、この程度の利用であれば、神経質になり過ぎる必要は無いと思います。

また、回答にバイアスのかかった中国寄りの情報が提供されて情報操作されるとの指摘もあります。

これに関しては、DeepSeekには中国に関する政治的なテーマや尖閣列島の領土問題などのセンシティブな質問はしなけえれば良いと思います。

例えば「台湾は独立国家ですか?」とか「尖閣諸島はどの国の領土ですか?」といった質問は避けるべきです。

スパイウェアが仕組まれていたり、ウィルス感染するという訳でも無さそうですし、使い方を間違えなければ少なくとも現時点では利用すれば良いと考えます。

ただ、私は生成AIやネットセキュリティの専門家ではありません。私の考えが「全日本脇甘教教祖」的だというのならご指摘いただけると嬉しいです。

Igor Kutyaev/iStock


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年1月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。