科学が語る失われた生態系:『おしゃべりな絶滅動物たち』

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おしゃべりな絶滅動物たち」(川端裕人)を読みました。川端氏の本を読むのは「ドードー鳥と孤独鳥」を含め3冊目です。

この本はヒトが絶滅させた動物について述べています。

ベーリング海にいたステラーカイギュウが絶滅した直接的原因は食料とするための乱獲だった。

捕まえ易かったというのもあるが、面白い話が載っていた。

同海域に住むラッコを毛皮のために乱獲

餌となっていたウニが激増

昆布が激減

ステラーカイギュウは昆布を餌にしていたので、ヒトの乱獲がなくても絶滅していた

多摩川の河床でカイギュウの化石が見つかったそうです。見ると私が下った場所ではありませんでした。

カイギュウではないがここでいろいろ見つかったそうだ。

北海道、千葉など東日本で多くのカイギュウの化石が見つかっている。

恐竜のようにある種が「絶滅」するということは認識されていたが、ヒトの活動によって「絶滅」が起きることは認識されていなかった。

「絶滅」について語ったアルフレッド・ニュートン(万有引力のアイザック・ニュートンとは別人)のことが書かれている。

当初は普通の博物学者のように、生きたものを保護するのではなく剥製などの形態で保存することをすべしと言っていた。

その後、動物園で飼うべし(繁殖のためではない)という考えになり、最終的には繁殖期における狩猟の禁止を訴えるようになった。

北米に何十億羽もいて絶滅したリョコウバトは、トラップ射撃(クレー射撃の前身)の的として使われた。

一大会ごとに生きた数万羽のリョコウバトが的に使われた。

1880年代には数が減ったので陶器(クレー)のハトを使うようになった。

イルカは自慰をするそうだ。

年中するのか簡単に調べたがわからなかったが、犬・猫・馬などもするそうだ。イルカはメスもするらしい。

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絶滅種の「脱絶滅」について

「絶滅種の全ゲノムが決定された」と言われる場合は、言葉通りの意味ではなく、骨などから得られた断片的なものを近隣種にあてはめていくことを言う。

「脱絶滅」は全てのDNA配列を復元するのではなく、特徴的な物だけゲノム編集をして「絶滅種に似た機能を果たす生きもの」を作ろうというもの。

マンモスに似たものを復活させる意味として、地球温暖化に歯止めをかけるためというのがあるらしい。

北極圏ではマンモスのような大型動物がいないので冬に降った雪が積もって永久凍土を十分に冷やさない。

マンモスに雪を掘り起こしてもらい表土を冷やしてもらう。また、森林が土の温度を上げるので、それを防いでもらうという考えがあるそうだ。

本当に意図通りになるかはかなり疑わしい。

リョコウバト、フクロオオカミなども研究されているが、それができたとして環境に放せるかどうかは微妙だと書かれている。

カルタヘナ議定書に「脱絶滅」の研究が盛んなアメリカ・オーストラリアは未締結国。

校正がいまいちであったのを二カ所見つけた。

pp.80-81 「それは、日時、時刻がほぼ正確にわかっているはじめての生物種の絶滅となった。」

これは北米のリョコウバトの話で1914年9月1日にシンシナティ動植物園でマーサという名前のが亡くなったことについて書いている。

「日時、時刻」ではなく「日付、時刻」が妥当ですね。日時には何時何分という時刻も含まれるため。

p.209で、脱絶滅の研究と基礎研究は全く違うが、いずれそれらが合流して現実的になっていくのでは?という著者の意見に大阪大学の林克彦氏が《「たしかに、そうかもしれません」と合意した》とある。

これは「合意」ではなく「同意」ですね。

「合意」は何らかの調整事項に対して意見をすり合わせた結果であり、「同意」は単なる意見の一致で意味が違う。


編集部より:この記事は晴川雨読氏のブログ2025年2月27日のエントリーより転載させていただきました。