トランプ=ゼレンスキー会談の失敗は「ポスト冷戦秩序」の終わり?

全世界が注目したトランプ=ゼレンスキー会談は、ヴァンス副大統領が割り込んで大混乱。これで会談は打ち切られ、トランプは「交渉は終わりだ」と宣告し、ゼレンスキーは「2度とワシントンには行かない」という。

BBCの第一報は、ゼレンスキーがトランプを挑発したと報じた。

  1. ゼレンスキーの交渉戦略
    • アメリカの財務長官スコット・ベッセントがキエフを訪問し、米国への鉱物資源権譲渡に関する合意をゼレンスキーに求めた。
    • ゼレンスキーはこの交渉と引き換えに、トランプ大統領との直接会談を希望した。
  2. ゼレンスキーの外交手法とトランプ政権の反応
    • ゼレンスキーはこれまで、大胆なパフォーマンスやメディア戦略で国際支援を獲得してきた。
    • しかし、トランプ政権にはその手法が通じず、むしろ反感を買ってしまった。
    • トランプはゼレンスキーの要請を拒否し、「ゼレンスキーは重要ではない」と発言。
  3. ウクライナ国内での評価
    • 一部のウクライナ人はゼレンスキーがトランプに対抗する姿勢を支持。
    • しかし、外交の専門家の中には「トランプを刺激せず、より慎重に対応すべきだった」との意見もある。
    • ヨーロッパの指導者たちもゼレンスキーに「冷静に交渉すべき」と助言。
  4. アメリカの支援とウクライナの立場
    • ウクライナ側は、アメリカの支援が自国の生存に不可欠だと考えており、ゼレンスキーはトランプ主導の交渉にウクライナが正式に参加することを強く主張。
    • 一方、トランプは「ゼレンスキーが関与しても何も進展しない」と批判。
  5. 過去のウクライナとトランプの関係
    • ウクライナはトランプの第1期政権時にアメリカ企業との取引を持ちかけるなど、関係改善を図った。
    • その結果、ウクライナはジャベリン対戦車ミサイルを購入する許可を得るなど、一定の成果を上げた。

Economistは「トランプ政権の大失態」と批判。

  1. ホワイトハウスでの衝突
    • 2025年2月28日、ゼレンスキー大統領がホワイトハウスを訪問。
    • トランプ大統領と副大統領J.D.・ヴァンスとの間で激しい口論が勃発。
    • ゼレンスキーが戦争の歴史を説明し、プーチンの裏切りを指摘したことでヴァンスが激怒。
    • トランプも「ウクライナは第三次世界大戦を引き起こす危険がある」と批判し、関係は完全に破綻。
  2. ウクライナへの影響
    • トランプ政権がウクライナへの軍事・財政支援を停止する可能性が高まる。
    • ゼレンスキーはアメリカの支援がなければロシアに対抗できない状況に直面。
    • ヨーロッパの指導者たちはウクライナへの支持を表明し、軍事支援の協議を加速。
  3. ゼレンスキーの戦略と失敗
    • アメリカとの関係改善を目指して訪米したが、逆に悪化。
    • フランスのマクロン首相やイギリスのキア・スターマー首相はトランプとの会談を成功させたが、ゼレンスキーは対立を深めた。
    • 交渉の主題だったウクライナの鉱物資源に関する契約は署名されず、訪問は失敗に終わる。
  4. ロシアの反応
    • ロシア政府はゼレンスキーの敗北を歓迎し、メドヴェージェフは「傲慢な豚がついに叩きのめされた」と発言。
    • プーチン政権は、アメリカとウクライナの関係悪化を戦略的な勝利と捉えている。
  5. 今後の見通し
    • ゼレンスキーへの国内外の圧力が高まり、辞任や選挙実施を求める声も出始める。
    • しかし、戦時下のウクライナでは選挙が難しく、政権の不安定化が懸念される。
    • アメリカの支援が絶たれた場合、ウクライナの戦争継続はさらに困難になる。

NYタイムズは悲観的に論評している。

  1. ウクライナへの支援打ち切り
    • トランプ大統領は、ウクライナのゼレンスキー大統領に対し「君には交渉のカードがない」と発言。
    • 副大統領のJ.D.バンスもゼレンスキー氏を「無礼で恩知らず」と非難。
    • これにより、米国とウクライナの戦時中の同盟関係が事実上崩壊。
  2. トランプ氏の外交戦略
    • 伝統的な同盟関係(欧州や民主主義国家との協力)を軽視し、大国同士の交渉を重視。
    • ロシアとの関係正常化を目指し、ウクライナの犠牲をいとわない姿勢。
    • ロシアの戦争犯罪の調査打ち切りやウクライナへの安全保障提供を拒否する可能性。
  3. 米国内の変化
    • 国務長官のマルコ・ルビオ氏は、かつてのウクライナ擁護から一転し「ロシアと中国とも関係を築くべき」と発言。
    • バイデン政権時代の「ウクライナを最後まで支援する」方針から大きく転換。
  4. 国際社会の反応
    • フランスのマクロン大統領やイギリスのキーア・スターマー首相は、ウクライナ支援の必要性を強調。
    • ポーランド、リトアニア、ラトビアなどの東欧諸国は懸念を表明。
    • ロシアはトランプ氏の発言を歓迎し、「アメリカの支援打ち切り」を求める声が強まる。
  5. トランプ氏の世界観と課題
    • 第二次世界大戦後に築かれた国際秩序(同盟関係や国際法の尊重)を「アメリカの力を削ぐもの」と否定。
    • その代わりに、大国間の直接交渉や経済取引を重視する外交方針。
    • しかし、ロシアや中国のような権威主義国家に対して、この方針が機能するかは不透明。

トランプ大統領は、ウクライナへの支援を打ち切る姿勢を明確にし、ロシアとの関係改善を優先する考えを示した。ゼレンスキー大統領との会談では、ウクライナの立場を否定し、アメリカの安全保障政策を根本的に見直す意向を表明。

これにより米国の伝統的な同盟関係が揺らぎ、国際社会では混乱が広がっている。欧州のリーダーたちは警戒を強める一方、ロシアはこの動きを歓迎している。トランプ氏の新たな外交戦略は、ポスト冷戦秩序の終わりを示唆している。