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前回の拙稿で『ネオ・ジャポニズム』と言う、これまでもあった考え方と言うか方向性に対しての再考について、考察してみた。
(前回:『ネオ・ジャポニズム』時代の到来①)
今回は、「じゃあ何すりゃいいの?」と言うことになるんだけど、今、日本政府は地方創生を言うけど、イマイチ、具体策の提言が弱い。私は石破茂批判を行なってるけど、それは緊縮財政方針に反対しているから。そもそも、政府がテコ入れしないで緊縮財政に舵を切りながら、地方創生をやっても、企業にしてみれば、もう少し規制緩和してくれとか、政府や自治体のテコ入れしてくれよ、というのが本音じゃないだろうか?
それに加えて、コストプッシュインフレが追い討ちをかけ、賃金を上げたくても上げられない状況や、企業の売り上げ確保とインフレが噛み合ってない現状もあると思う。
と、言っても、まあ埒があかないので、今回は、『ネオ・ジャポニズム』の具体化について、思いつくところをまとめてみた。
私は『ネオ・ジャポニズム』の根幹は、「循環の再定義」や「地域間連携の再構築」、「時間の再利用」といった視点が重要ではないかと考えている。SDGsが謳われるようになり欧米各国はそちらに舵を切ったけど、現実はよく分からないというのが本音だと思う。また、SDGsを一つのビジネスチャンスと捉えた連中が、過度に推し進めようとしていることで、環境保護団体その他の怪しい団体に税金を支出する流れが続いてきて、欧米ではSDGs自体がまやかしではないか?という疑念が広がりつつある。
とはいえ、元々、日本にはSDGs自体が生活様式や文化に根ざしているのも事実。そこで、市場や自治体、地方企業が実際に進めてきた具体例を整理して紹介する。こういう事例を参考にすれば、私の言う『ネオ・ジャポニズム』の提案に現実味と説得力がさらに加わるはずだ。
循環の再定義:地域の“ムダ”を価値に変える取り組み
- 徳島県上勝町の「ゼロ・ウェイスト」
上勝町はゴミを45分別してリサイクル率80%以上を達成してるんだけど、これって単なる環境対策じゃなくて、住民が主体的に「ムダ」を資源に変える仕組みを作った例だ。分別された資源は地元企業が商品開発に活用したり、観光資源として「ゼロ・ウェイストセンター」を運営してる。いわゆる「創意工夫の文化」に近い。 - 福岡県大木町のバイオガス事業
大木町では家庭や企業から出る生ゴミを回収して、バイオガスに変換する事業を推進し、地元のエネルギー供給に使ってる。ムダだった生ゴミが地域の電力になり、循環型経済の小さなモデルになっていて、これも無理なく実践できるアイデアだ。
地域間連携の再構築:地方同士で共存する経済圏
- 「おてつたび」と地域連携
地方の農家や観光業が人手不足に悩む中、「おてつたび」っていうサービスが地域間をつないでる。具体的には、都市部の若者が短期で地方に行って手伝い、その地域の魅力をSNSで発信しているのだ。たとえば、島根の農家と東京の若者が直接つながって、結果的に地域同士の交流も増えてる。大企業を介さない小さな経済圏の例と言える。 - 東北6県の「東北絆テーブル」
東北では自治体や企業が集まって、食や観光資源を共同でブランディングしてる取り組みがある。単独じゃ弱い地域が連携して、海外輸出やインバウンド需要を開拓していて、競争じゃなく共存を重視してる点が、「地域間連携」の視点にハマると思う。
時間の再利用:関係性や信頼を育む長期視点の取り組み
- 島根県隠岐郡海士町の「Iターン支援と地域再生」
海士町は移住者を迎え入れて、漁業や農業を一緒に育てていく長期プロジェクトを進めてる。効率や即時利益を追わず、移住者と住民が時間をかけて信頼関係を築くことで、人口減に歯止めをかけた。2025年時点で徐々に成果が出てきていて、非常に興味深い取り組みだ。 - 兵庫県豊岡市の「コウノトリ育む農業」
農薬を減らしてコウノトリを呼び戻す取り組みなんだけど、これは短期的な利益より、環境と共生する農業を何年もかけて作ってきた結果だ。地元農家と行政がじっくり協力して、今じゃ地域ブランドになってる。時間の使い方が上手い例と言える。
これらの事例から見えるポイント
- 現実的で無理がない:どの事例も大規模な資金や技術に頼らず、地域の既存資源や人々の意欲を活かしてる。
- 独自性と広がり:ありきたりな「活性化」じゃなく、地域特有の課題や文化を逆手に取って、新しい価値を作り出してる。
- 共感と参加:住民や企業が「自分ごと」として関われる仕組みがあるから、持続性が高い。
私が言う『ネオ・ジャポニズム』にこれらを織り交ぜると、「確かにできるかも」と感じる具体性が見えてこないか?つまり、既存のビジネス本じゃ物足りない「何か新しい視点」を両立できると考えている。
またこれらの事例を紐解くと、実は、地方であっても実現可能性のある「循環の再定義」や「地域間連携の再構築」、「時間の再利用」といった具体策がまだまだあるとも言える。
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以後、
・実現可能性の高い方策とは?
・個人レベルで『ネオ・ジャポニズム』を発信・実践するアイデア
続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。