(シリサーナ大統領との会談)
スリランカ民主社会主義共和国に、日本のマイナンバー制度の売り込みに行ってきました。
さて、スリランカ国民に対して、僕たち日本人が忘れてはならないことがあります。それは、1951年サンフランシスコ講和会議に出席したジャヤワルダナ財務大臣(後の首相・大統領)が「憎悪は憎悪によって止むことはなく、愛によって止む」という仏陀の言葉を引用して、対日賠償請求権の放棄を宣言し、日本を国際社会の一員として受け入れるようにと、演説を行っているのです。この演説が吉田茂首相、そして日本人を勇気づけたと言われています。もちろん、今でもスリランカは、仏教徒が中心の親日国です。
今回、スリランカ訪問は、2009年に26年間にも及ぶ内戦が終結し、国内復興の一環として、日本で言う「マイナンバー制度」を導入するということに対する調査と売り込みです。日本で、2016年1月からスタートした「マイナンバー制度」の考え方、システムの在りようを伝え、海外にマイナンバーシステムを輸出したいと考えているからです。
マイナンバー担当の内閣府大臣補佐官時に、マイナンバー制度の準備と実施を担当し、将来は、このシステムを海外に輸出したいと考えていました。マイナンバー制度がスタートし、今は、補佐官という役職自体が内閣府にありませんが、自民党のマイナンバー制度利活用推進委員会の委員長として、海外への輸出プロジェクトを進めていきたいと考えています。
(カルナナヤケ財務大臣との会談)
そのために、現地に行き、ラヴィ・カルナナヤケ財務大臣、ハリン・フェルナンド通信デジタルインフラ大臣、ナー・ウィンナ住民登録大臣との意見交換、ID登録業務の現場視察を行い、シリセーナ大統領に僕の考えを述べてきました。
国民IDの登録現場は、PC機器等のインフラが充分でない中での、人海戦術業務とも言えます。しかし、IDを複数枚持っていたり、成りすましが生じたり、課題が生じているのです。登録を迅速に効率的に行い、成りすまし、2重登録など生じさせない、またマイナンバーカーによる国民の利便性向上が必要とスリランカ政府は考えているようです。
(クマラ登録局長とID登録現場視察)
状況を踏まえて、マイトリーパーラ・シリセーナ大統領に面会に行きました。大統領には、マイナンバー制度を始めるには、国民サービスの優先順位、コストが増大しないシステムづくり、行政業務の効率化が大切で、日本には、その経験があるので、協力しますと話しをしました。大統領からは、それでは、企画書を私に提出して欲しいと言われました。菅原健一在スリランカ日本国大使も同席していましたので、大使経由で企画書を渡すことになりました。
もちろん、スリランカの人口は2100万人、通信インフラ状況、財政状況等、日本との違いがあるので、状況を踏まえたシステムづくりが必要であり、日本のマイナンバーシステムをそのまま持ち込むということでは、ありません。考え方や優先順位、システム構築仕様、日本で学んだ成功と失敗を念頭に企画書をつくりたいと思っています。
今まで、日本の経済支援は、ハード系のインフラを整備することが中心であったと思います。ハード系のインフラで、苦戦を強いられているなかで、システム輸出を先行させ、デバイスやハードは、後から考えるというやり方もあると思います。新たな一歩をスリランカで踏み出したいと思います。
【参考】多くの現地ニュースサイト・メディアに大統領との会談を取り上げてもらいました。
http://www.itnnews.lk/latest_
http://www.dailynews.lk/?q=
http://www.slbc.lk/index.php/
http://www.dailyceylon.com/
編集部より;この記事は衆議院議員、福田峰之氏(自由民主党神奈川県第8選挙区=横浜市青葉区・緑区=支部長、前内閣府大臣補佐官)のブログ 2016年8月12日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、ふくだ峰之の活動日記をご覧ください。