黒坂岳央です。
かつて「無知」とは単なる恥をかくだけの話だった。しかし、高度に情報化された令和の現代において、もはや「恥」では済まない。
テクノロジーと社会制度が複雑化した今、無知は単なる恥ではなく、人生そのものを破綻させかねない深刻なリスクを抱えている。
本稿では、筆者が特に警戒すべきと考える「令和ならではの人生破壊リスク」を取り上げる。

RichVintage/iStock
闇バイト
「簡単な仕事でスマホで日給5万円!」
「海外で活躍できる仕事!」
一見魅力的なフレーズがSNS上で拡散されるなか、その裏側に特殊詐欺の「出し子」や「受け子」といった犯罪行為が潜んでいるケースは少なくない。
特に令和以降、未成年や若年層の検挙件数は増加の一途をたどっている。警察庁の統計では、2022年には特殊詐欺に関与した10代の検挙数が過去最高を記録した。
一度でも逮捕されれば、前科が付き、進学も就職も著しく制限される。また、闇バイトは普通のバイトに紛れて掲載されている時代だ。それを見抜く眼力も必要となるだろう。自信がない人は求人内容をAIにかけて判定してもらうのも手だ。
銀行口座の売買
「不要な口座を買い取ります」というSNS上の誘い文句。気軽に応じた結果、口座を犯罪に悪用され、以後、銀行口座を一切作れなくなる可能性がある。
給与振込、クレジットカードの引き落とし、公共料金の引き落としなど、日本人は銀行口座なしではまともな社会生活ができない。銀行口座を作れなくなると、まともな会社には就職できず、独立開業も不可能となり誇張抜きで人生が詰むほどの大打撃を受けることになる。
銀行口座の売買は絶対に手を出してはいけない。
SNSで悪人との出会い
これは昔から言われてきたことだが、特に令和以降はどれだけ意気投合しようともネット上で簡単に人と会うべきではない。特に未成年がネットで人と会うことのリスクは計り知れない。
悪人に勧められて危険ドラッグに手を出す。
闇バイトに巻き込まれる。
心理的に籠絡され、金品を取られる。
リアルでは実質的に付き合う人間関係が分断されているのが普通で、たとえば東京の一等地にある企業で働き、通勤圏内に住んでいるなら必然的に人間関係も自分と近しい属性となって危険もない。
だがネット上にはリアルではまず遭遇しないようなブッ飛んだ相手が潜んでいる。あまり性善説を否定するようなことはいいたくないのだが、世の中には関わると相手を不幸にする人格も一定数存在し、ネット上では簡単に彼らと接点を持つことができてしまう。
ネットの人間関係は慎重であるべきという前提が、これまで以上に重要になっている。
SNSの炎上・誹謗中傷リスク
SNSは情報発信の武器であると同時に、一歩間違えば自爆装置となる。そしてそのリスクは一昔前に比べて格段に高くなった。
軽い気持ちで考えを口にしたり、大きな主語で否定的な発言をすると一発アウトのリスクはそこら中に転がっている。たった一つの不適切(と認識されてしまう)発言で人生は簡単に破滅する。相手から訴訟を起こされれば数十万円単位のコストが発生してしまう。
経済的コストに留まらず、勤務先や家族、友人に知られれば解雇や信用失墜などさらにダメージは増大する。正直、SNSはよほど自己の発言を客観視できる能力の持ち主か、心配な時は投稿前に毎回AIにチェックをかけられるマメな人を除けば「SNSは閲覧専用」で良いだろう。
ITセキュリティ
一昔前までITセキュリティについては、「海外の危ないサイトに自ら行かない限り大丈夫」という感じだった。しかし、最近は犯行を行う側もAIの悪用やテクノロジーの進展で防御が弱いと言うだけで被害を受けるリスクが出てきた。
昨今は毎日のようにランサムウェアやウイルス感染によるセキュリティ事故が報告されている。また、複数の証券口座が悪用され、大事な資産を売却、損失確定させられるなど人生を左右しかねない被害も起きている。
・セキュリティアップデートは速やかに
・パスワードはジェネレーターで複雑にしたものをパスワードマネージャーで管理して使う
・外出先の無料Wi-Fiには接続しない
・重要なファイルはバックアップの3-2-1ルールで管理
最低限でもこのくらいはやっておくべきだ。上記をしなければ、被害を受けても泣き寝入りすることになっても仕方がない、と思えるほどにネット上のセキュリティ事故のリスクは高まっている。
◇
ここまで紹介してきたリスクの数々は、確かに深刻だ。だが、どれも「知っていれば確実に避けられる」という共通点がある。
そして現代は情報があふれており、学ぶ手段がこれまで以上に豊富だ。知ることで防げる。学べば、守れる。この時代を生き抜くための最大の武器は、やはり「学び続ける意志」なのだ。
■最新刊絶賛発売中!




![[黒坂 岳央]のスキマ時間・1万円で始められる リスクをとらない起業術 (大和出版)](https://agora-web.jp/cms/wp-content/uploads/2024/05/1715575859-51zzwL9rOOL.jpg)


