中学生と高校生が別々の殺人事件で逮捕されました。驚くというよりなぜ若者がそこまで追い込まれていたかを探る必要がありそうです。両者とも「ムンクの叫び」があったのではないかと思うのです。それが家族構成に関係しているかもしれないし、学校の先生に相談もできないような内容となればあと誰に言うのかその答えがないのかもしれません。男子生徒の抱える悩みに母親の愛情の欠落をその原因の一つだと仮定すれば心を開ける人、案外、異性の友達でもいればまた違ったのかもしれません。しかし、今やコミュニケーションはSNS主体だから近所の公園でブランコに揺られながら悩みを打ち分けるなんて彼らの世界にはないのかもしれません。
では今週のつぶやきをお送りします。
世界経済は低迷期に
1-3月期のGDPが発表になりつつありますが、日本とアメリカがマイナス、フランス、ドイツがゼロ%台と低迷、中国も4.9%と前期比で大幅下落です。世界経済は何に引っかかっているのでしょうか?私の見立てはコロナ反動消費のそのまた反動ではないかとみています。消費は必ず地球規模でうねるもので常に直線的な動きをするものではありません。消費がうねる理由は経済学的な分析より心理学や社会学的なアプローチの方がわかりやすい気がします。平たく言えば、同じテンションは続かない、ということです。
もう一つは世の中が盛り上がるヒット作が乏しいのです。全ての人を虜にするようなガジェットがないのです。これは物理的な製品というカテゴリーですが、サービスカテゴリーだとどうしても皆が同じ方向には向きません。そんな中、「日本に行こう!」は大ブームだと思います。これも今年あたりにいったんピークアウトしてしばらく落ち着く気がしています。日本は「大人のディズニーランド」なんですが異次元過ぎて外国人のマインドに同化しにくいのです。
ではお前の考える経済のエンジンはなにか、といえば大きな原動力の一つが住宅産業です。しかしここカナダでも住宅が売れない時代が到来しました。先日歩いていたら「オープンハウスやっています。覗いて行きませんか?」と不動産屋が呼び込みをしていました。日本なら時たま駅前で呼び込みを見かけますが、こちらでは衝撃なのです。その住宅は高くなりすぎて購入できない層が世界で増え、欧米では移民層の流入調整をしているので札束もって移民権と住宅を買ってくれる人も減っています。中国も札束を持っている移民希望者層を受け入れたら5年分とされる住宅余剰は解消するかもしれません。だけど誰が中国のパスポート欲しいのよ、と言われたら答えはありませんが。
ウクライナの停戦…遠いかも。
本件、私の5月12日付のブログ。「12日からの停戦案はプーチン氏は踏み倒す」、プーチンは出てこず「ロシアの特使が先行交渉」、そしてロシアは無理難題を押し付けるだろうと申し上げました。その上で「最大のジョーカーはトランプ大統領」とも書かせていただきました。トランプ氏はいみじくも「自分がプーチン氏と会わないと何の話も展開しないだろう」と述べています。プーチン氏がゼレンスキー氏と直接、面と向かって交渉する絵図は私は逆立ちしても描けません。ではトランプ氏となら交渉できるのか、今日はここを考えてみます。
ずばり、トランプ氏でも暴走列車プーチン号は止まらない、とみています。以前、プーチン氏が安倍晋三氏と北方領土問題を中心に30数回会談してその結果はむしろ悪化したと指摘しました。プーチン氏はそういう男なのです。自分の心は誰にも開かないのでトランプ氏が「ディール」に持ち込んでもカエルの面に小便なのです。自分のやりたいことを一心不乱に進め、他人の言うことには聞くふりをして本質問題には一切耳を貸しません。多分ですが、習近平氏でも交渉は不可能でしょう。ある意味異様なまでの頑なさを持つ歴史に残る人物です。
ではウクライナの停戦はないのか、といえばいつかは終わります。そのシナリオは3つ。1つはプーチン氏の野望が満たされた時、2つ目はプーチン氏が死去した時。3つ目はプーチン氏が実権を失ったとき。これらはすべて交渉事や外部による干渉ではなく、あくまでもロシア国内事情であり、かつプーチン氏個人の問題だとみています。よって外交的に挑むことがあるとすればロシアの徹底した窮乏化を目指し、ロシア国民が蜂起し革命が起きるぐらい煽るしかないとみています。ただロシアの高官も洗脳されているし、恐怖政治そのものなので革命なんて程遠いのでしょうね。
日産は生き残れるか?
正直、何らかの残影は残りそうですが、今の日産がそのまま残るのはより一層困難になってきた気がします。同社の話は過去何度も振っているので今日は昔話はしません。今後を考えたうえで経営戦略的に日産は今の巨大な図体を維持できるのかに絞ってみます。今般、エスピノーザ社長が再建計画を発表しましたが、これは過去5年で3度目の再建計画です。つまり計画倒れしているとも言えます。3度目の正直とも言えますが、リストラのインパクトは小さいと思います。

日産HPより
私の最大の懸念はゴーン問題、ルノー問題に明け暮れ、内田体制で会社の体を立て直すも人事問題も含め、有能な人材が流出してしまった点です。また自動車会社として6-7年の間、クルマ作りに正面から向き合ってこなかったのです。本来なら日産はEVの先駆者でしたからその戦略をきちんと貫けば今頃立ち位置は違っていた可能性すらあります。同社は13万人強いる従業員をはじめ、家族、関連会社、そして顧客や株主に対して明白で分かりやすいポリシーの下、リーダーシップを発揮できず、皆が不信感を持っているのです。新車がぽつぽつ出るようですが、革新的かと言えば成熟産業の中で「ハリボテ」的なものになっていないか、心配なのです。
ここまで八方ふさがりなら私ならいっそうのこと、分社化させ、日産本体を持ち株会社にし、地域ごとの生産や販社、及びEV部門、軽自動車部門などをぶら下げ、売却した方が良いものは積極売却し、いったん軽量級に変えた方が良いとみています。これは総合自動車会社として経営陣の数も能力もあまりにも不足しているからです。ホンダとの提携話は日産の屋台骨を維持する前提だったと思いますが、そこにこだわらない方がよいと考えが変わりました。将来的にはクルマは買うものではない時代が来るとみています。そこまで先見の明をもって再建プランを作らないと本当に残影すらなくなってしまいます。
後記
スポットで仕事をお願いした業者からの請求書をみてびっくりすることがしばしば起きます。作業時間65時間で65万円の請求をしてきた業者には「うちにはオタクの作業員が何日の何時から何時まで作業したか記録がある。それによると15時間しかないけどどうする?」と反論しました。また、2年ぐらい前に68万円の請求書を送ってきた業者には1円も払えないと突っ返したのですが、わけワカメの債権回収代行業者からマシンガントークの電話がたまにかかってきます。「払え!」「払わない!」「なら訴訟する!」「どうぞ」と返してます。代行業者に訴訟など出来ないのです。また私と先方の金額の折り合いの差はわずか15万円程度。これでは弁護士の3時間分にしかなりません。理不尽なものは突っぱねるのですが、こういう話はエネルギーを持っていかれるので疲れます。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年5月17日の記事より転載させていただきました。






