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人生の折り返し地点を過ぎた40代、50代。キャリアでは実績を積み、収入も安定してきた一方で、子どもの教育費や親の介護など、責任と出費は増すばかり。さらに、老後の「2000万円問題」がメディアを賑わせ、将来への不安も募る年代です。
この時期に必要なのは、きちんとした財務戦略。今回は、誰も教えてくれない「お金持ちの考え方」に基づく資産形成のポイントをご紹介します。
「人生中盤からの成功戦略 お金・仕事・人間関係に困らないコツ」(岡崎かつひろ 著)かや書房
「守りの資産」と「攻めの資産」を明確に
リスク管理の第一歩は、「万が一のための資金」と「増やすための資金」を明確に分けることです。金融庁の調査によると、日本人の約25%が緊急時のための貯蓄を持っていないと報告されています。これは非常に危険な状態といえるでしょう。
人生には予期せぬ出来事が必ず訪れます。子どもの急な病気や怪我、親の介護、自身の健康問題、そして最近では企業のリストラも珍しくありません。日本経済新聞の調査では、40代以上の約35%が「キャリア中にリストラや大幅な給与カットを経験した」と回答しています。
このような事態に備え、生活費の少なくとも3ヶ月分は現金または現金同等物として確保しておくべきです。会社員であれば通常、3ヶ月あれば次の就職先を見つけることが可能でしょう。個人事業主や起業家の場合はより不確実性が高いため、理想的には半年分の生活費を「守りの資産」として確保することをお勧めします。
「攻めの資産」はリスクを理解した上で育てる
守りの資産を確保したら、それ以外の資金は積極的に運用していきましょう。ただし、投資にはリスクがつきものです。最近の金融商品は非常に多様化していますが、まず取り組みやすいのは「NISA」でしょう。年間120万円(つみたてNISAの場合は40万円)までの投資が非課税となる制度で、長期的な資産形成に適しています。
「高利回り商品」の罠に注意する
特に注意すべきなのが、ポンジ・スキームなどの投資詐欺です。消費者庁によると、投資詐欺の被害額は年間約2,000億円に上り、その多くが40代以上の世代が被害者になっています。「年利30%」「元本保証」「確実に儲かる」といった甘い言葉には要注意です。
不動産投資は「リセールバリュー」を重視する
不動産は「住む」だけでなく「資産」としての側面も考慮すべきです。その際に重要なのが「リセールバリュー」です。不動産の場合は立地や建物の質、周辺環境などによって将来の価値が大きく変わります。国交省の調査によれば、都心部の優良物件と郊外の一般的な住宅では、20年後の資産価値に最大で70%もの差が出ることもあります。
「複線型」の資産構築を目指す
40代・50代の資産形成で重要なのは、「すべての卵を一つのカゴに盛らない」という多様化の原則です。現金、株式、投資信託、不動産など、異なる資産クラスにバランスよく投資することで、リスクを分散しながら資産を育てていきましょう。
そして最後に、資産形成は一朝一夕でできるものではありません。焦らず、コツコツと、そして何より「自分自身の知識」に投資することから始めてみてください。それこそが、お金持ちの人々が当たり前のように実践している「お金の哲学」です。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
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