トランプ大統領の防衛戦略「ゴールデンドーム」:先制攻撃が容易に?

5月20日、ドナルド・トランプ前大統領は、米国本土をミサイル攻撃から防衛するための新たなミサイル防衛システム「ゴールデンドーム」を発表しました。この構想は、陸・海・宇宙にまたがる次世代技術を活用し、敵対国からの攻撃を完全に防ぐことを目的としています。

トランプ大統領 ホワイトハウスXより

背景と目的

「ゴールデンドーム」は、1980年代のレーガン政権による「スターウォーズ計画(戦略防衛構想)」の現代版ともいえます。

トランプ氏は、米国の現在のミサイル防衛システムでは十分な防御力を持たないと主張し、より包括的な防衛網の構築を提案しました。このシステムは、地上配備型の迎撃ミサイル(パトリオット、THAAD)、艦船発射型のスタンダードミサイル、そして宇宙空間に配置されるセンサーや迎撃兵器を組み合わせることで、あらゆる種類のミサイル攻撃を阻止することを目指しています。

トランプ大統領の「ゴールデン・ドーム」とは、パトリオット・システムだけでなく、広範な米国のミサイル防衛システムを指します。パトリオット、THAAD、GMD、そして宇宙配備型迎撃ミサイルといった将来技術を含み、様々な空中脅威から国全体を守ることを目的としています。イスラエルのアイアン・ドームに着想を得たこのシステムは、包括的な防衛のために設計された多層ネットワークです。パトリオットは重要な一部ですが、「ゴールデン・ドーム」はより大規模で野心的な構想です。

費用と実現可能性

トランプ氏は、このプロジェクトの総費用を1750億ドルと見積もっていますが、専門家はこの数字が過小評価されている可能性が高いと指摘しています。

トランプ大統領、「ゴールデンドーム」建設の3年間のタイムラインと1750億ドルの費用を発表 (就任後12か月以内にエネルギー価格を50%引き下げるという約束と同じくらい信じられるものだ。)

議会予算局(CBO)の試算によれば、宇宙配備型の迎撃システムの開発・運用には5000億ドル以上が必要になる可能性があります。さらに、システムの完成には最低でも10年かかるとの見方もあり、トランプ氏が主張する「3年以内の完成」は非現実的だとされています。

トランプのゴールデンドーム計画は、弾道ミサイル、巡航ミサイル、極超音速ミサイル、そしてドローンに対する全米防衛を野心的に実現するものだ。しかし、この防衛網を突破するための核軍拡競争を誘発するだろう。宇宙空間の大規模な兵器化だ。CBOは5000億ドルと見積もっている。20年計画だ。

国際的な懸念

「ゴールデンドーム」が実現すれば、米国は敵対国からのミサイル攻撃を完全に防ぐことが可能となり、事実上「報復不可能な先制攻撃」を行う能力を持つことになります。この点について、特に中国政府は強い懸念を示しており、特に宇宙空間への兵器配備が軍拡競争を加速させる可能性があると警告しています。

課題

「ゴールデンドーム」構想は、米国の防衛力を飛躍的に向上させる可能性を持つ一方で、莫大な費用と技術的課題、そして国際的な緊張を伴います。今後、議会での予算承認や技術開発の進展が鍵となりますが、米国の軍事戦略が世界に与える影響について同盟国にも慎重な議論が求められることになります。