コメ問題はMA枠を廃止して関税を下げれば解決する

池田 信夫

コメの値上がりが大きな社会問題になっているが、これを解決するにはどうすればいいのだろうか。チャットGPTにきいてみた。

Q. コメの値上がりが問題になっていますが、原因は何ですか?

■ コメ高騰の背景
  • 2024年度、凶作ではなかったのにコメの卸売価格が急騰。
  • 主な要因は、農水省による減反政策の失敗
  • 供給不足に便乗して買い占めた業者もいたと思われる。
■ 現行制度の問題点
  • 関税なしで輸入するミニマムアクセス(MA)米77万トンのうち主食用は10万トンだけ。あとは煎餅や家畜の餌などになっている
  • MA以外のコメには341円/kgの超高関税がかけられ、輸入米の市場参入をほぼ不可能にしている。

Q. なぜコメは輸入できないのですか?

関税制度の成り立ちと問題点
  • 1993年のウルグアイ・ラウンド交渉で、農産物の輸入制限は禁止され、関税によって輸入量を調整する関税化に移行することになった。
  • しかし日本はコメの関税化を拒否し、代わりにMA米の導入を受け入れた。
  • のちに現在の341円/kgという関税が設定された(現在価格で100%以上)。
  • この関税は輸入禁止に等しいため、国際的に「汚い関税化(dirty tariffication)」と批判されている。
● 国家貿易制度の弊害
  • WTOでは輸入割当は認められないが、日本は「輸入割当と国家貿易は別」と主張して例外を得た。
  • MA米やコメ輸入は、農水省(国家貿易企業)が独占的に取り扱う。
  • この制度により農水省の権限が温存され、消費者利益は損なわれている。

Q. この問題を解決するにはどうすればいいですか?

▶ MA米の主食用枠の拡大
  • 1993年、ウルグアイ・ラウンドでコメの「最低限の輸入(MA)」を約束した。
  • 年間77万トンのコメを外国から無税で輸入する義務があるが、主食用には10万トンしか使われていない。
  • 主食用枠を77万トンに拡大し、最終的にはMA米を廃止すべき。
▶ コメの関税引き下げ
  • 関税をゼロにすれば、国内価格は下がる。たとえばイオンで売っている輸入米は670円/kgだが、関税ゼロにすれば320円になり、備蓄米(400円)より安い。
  • 関税を撤廃することは政治的に不可能でも、国内産と競争できる水準に下げるべき。
  • 輸出も可能になり、農業は攻めの産業に転換。

    輸入米(イオン)

▶関税引き下げのメリット
  • 米価が下がり、国際価格でコメを食べられるようになる。
  • 減反政策が不要となり、年間3500億円の補助金削減。
  • 足りなければ輸入すればいいので、備蓄米の500億円も不要。
  • 食料安全保障の観点でも有利(輸出米を自国用に回せる)。
▶ 減反政策の廃止
  • 減反はコメ生産量を意図的に減らし、価格を維持するカルテル的制度。
  • 年間3500億円の補助金が不要になり、財政負担が軽減される。
  • 生産性の高い農家に農地が集まり、競争力ある農業が実現。
▶ 直接支払い制度の導入
  • 欧米型の政策で、農家に価格差を補填する直接所得補償を実施。
  • 関税がなくても農家の収入は安定し、消費者も安く食料を得られる。
▶ 世界的な産業内貿易モデルへの移行
  • 農業を大規模化すれば農産物を輸出できる。
  • 輸出超過が備蓄の代わりのバッファになり、自給率も上がる。
  • 日本産コメが世界市場で競争力を持ち、他国産の輸入があっても問題にならない。
▶ まとめ
  • 1993年に農業保護をやめて自由化すると約束したにもかかわらず、その後はWTO違反のMA米も撤廃せず、関税も禁止的な水準のままだ。
  • 自民党の票田である零細農家を守るために大規模化や株式会社の参入を阻止し、減反政策で生産を制限してきたため、農業の生産性がきわめて低い。
  • 一部の団体だけに利益が集中する仕組みを見直し、欧米で実績のある直接支払い制度や関税撤廃による自由な市場構造への転換が必要だ。
  • 大規模化や輸入自由化で、コメを“守る”のではなく“育てる”政策へ──それが、本当の意味での国益であり、持続可能な農業と食の安全保障につながる。