自民が鈴木宗男氏を参院比例で擁立:比例維新→離党→いま辞職の無節操

無所属の鈴木宗男参議院議員が6月20日の本会議で辞職し、自民党から比例代表で参院選に出馬する見通しとなりました。

宗男氏は20日、自民党本部を訪れて入党手続きを行いました。その後、記者団の取材に対し、「森山裕幹事長が保証人」だと説明しています。

鈴木宗男氏 NHKより

宗男氏は、比例代表で当選した議員が他の政党に移ることが法律で禁じられているため、自民党から再び比例で立候補するには議員を辞める必要がありました。そこで辞職し、自民党に復党して公認を受け、改めて立候補する手続きを進めています。比例で当選したのに維新を離れて議員で居続けたうえに、今回の辞職は宗男氏が国民や選挙をどう捉えているのかがよくわかります。

なお、この移籍制限のルールは、25年前に宗男氏自身が関わって作ったものです。1996年の選挙で比例当選直後に他党へ移籍した議員への批判を受け、自民、公明、保守、自由、民主の5党が共同で法改正を提案。宗男氏も当時その必要性を国会で説明していたようです。皮肉にも、かつて自らが提案した制度によって、今回の復党劇は大きな制約を受けていました。

参照:鈴木宗男氏が自民に復党 移籍制限ルール作ったのは25年前の自分 朝日新聞

自民党は同日、党紀委員会で宗男氏の復党を認め、公認に向けた手続きを開始しました。汚職による有罪判決や、ロシアへの無断訪問で党を離れた過去を持つ人物を、あえてこのタイミングで復活させるあたり、自民党の「人材難」もいよいよ極まった感があります。

宗男氏は、1983年の衆院初当選以来、開発庁長官や官房副長官を歴任したものの、2002年にはあっせん収賄罪などで起訴され、実刑を受けて失職。2019年には日本維新の会から参院比例で出馬し当選しましたが、2023年に無断でロシアを訪問し問題視され、議員辞職せずに離党しました。

ロシアとの深い関係が常に疑念を呼ぶ人物を、わざわざ比例代表という形で復帰させることに、国民の安全保障感覚とのズレを感じざるを得ません。

「票になるから」と言わんばかりに公認する姿勢は、もはや政策ではなく選挙互助会としての本音を隠せていないようにも見えます。いま、自民党が示しているのは「どんなに過去に問題があっても、票を持っていれば復活できる」というメッセージです。

有権者がその意図をどう受け止めるかが問われています。