【少子化対策】価値観を変える体験と外国人政策見直しを

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まず、今の若い世代がこどもを3人持っても、人口は増えません。すでに若い世代が少ないからです。この先20年、やるべきことは、人が少なくてもやっていける社会に変えることです。交通輸送・医療介護・行政などで「人なし」でやっていける技術実装を可能にするよう、規制改革・企業支援、そして、個人の意識改革をやらないといけなません。

そして、同時に「人を増やす」こともやらないといけない。この効果が出るのは20年後です。まず、若い世代が子どもを持とう、もう一人持とう、と思わせるには、支援策の深堀が不可欠です。

現在の支援策は、こども育てるのに100万円かかるなら、その一部を負担しますという形式です。これでも相当前に進みましたが、本気でやるなら、こども育てない方が損という状態までいかないといけません。例えば、ハンガリーのように、こども3人いたら、所得税ゼロにするのも一つのアイデアです。

「お金もらったから子どもを持とうとは考えない」は、まさにその通りです。私も子どもを3人育てていますが、お金じゃなくて、「こどもっていいなあ」って思う瞬間があります。この感覚を持つが、こどもを持とうと思う本質だと思います。

しかし、今、一人っ子が増えています。一人っ子だと、姪っ子や甥っ子を抱っこしたことがありません。そうした人が、大人になって「結婚する?」「こどもを持つ?」と問われると、メディアで流れる「子育て罰」という言葉が判断のよすがになってしまいます。

幼稚園・保育園に中高生が見習いで働く機会を増やすことで、こどもを育てるリアリティを多少なり持ってもらうことが一つの解決策になります。幼稚園・保育園にとっては、将来の先生候補を生むことになりますし、学生にとっても、就職や受験の際にも「語れる話」として結構喜ばれるそうです。

政府がやらなくてもいいですが、こうした取り組みもあわせてやるべきではないでしょうか。価値観を変えるには「体験」です。

「人を増やす」話で、もう一つが外国人の話です。私は、今の日本の外国人政策は最悪だと考えています。建前では、移民政策はとらないといいながら、現実に多くの外国人労働者が日本に入ってきています。建前を守るあまり、「こない」前提なので、入国の審査ができず、不法に就労・滞在するような外国人が増え、「いない」前提なので、日本社会に溶け込むためのケアもできません。

私は、日本に一定の外国人は必要であることを認めた方がいいと考えています。その上で、どういった技能・能力・背景を持った外国人を受け入れるのかを決め、適正に受け入れ、一度入国した外国人には、日本社会に溶け込み、成功し、貢献してもらえるように応援する仕組みまで作るべきだと考えます。

具体的には、出入国管理庁のような受け身の組織ではなく、外国人庁というような組織にして、受け入れ外国人を5年ごとに計画を立て、実際に入国した外国人の技能・能力・背景とその後の経過を追い、次の計画に生かす。世界的に人材獲得競争が起こるなかで、ターゲットとなる国を特定し、現地大使館とも連携をして積極的なリクルート活動をするような組織を作る方が、結果的に、わが国にとってプラスではないでしょうか。