保育園の倒産・廃業が急増:「保育園落ちた」から「園児足りない」に

保育園の倒産・廃業が急増しています。2025年上半期だけで22件が発生し、前年同期から7割増となりました。このまま推移すれば、年間で過去最多となる可能性もあります。

2023年度の時点で約3割の保育園が赤字でした。慢性的な人手不足により受け入れを制限せざるを得ず、さらなる収益悪化に陥る施設も少なくありません。

参照:「保育園」の倒産・廃業、3年連続で増加 2025年は過去最多ペース 帝国データバンク

かつて大きな社会問題となった「待機児童」は、今やほとんどの自治体で“ゼロ”に。しかし少子化と保育施設の増加が重なり、今度は「園児が足りない」状況に変わりました。2025年には需要がピークアウトすることは予想されていました。

とくに中小の保育園では、定員割れに加えて保育士の確保難、人件費や食材費の高騰が経営を圧迫しています。

また、保育の無償化や制度整備により利用しやすくなった一方、保育サービスの価格は自由に決められず、補助金頼みの制度設計のままです。市場原理が働かず、経営の柔軟性が乏しいままでは、淘汰は避けられません。

保育園の需要は、地域によってとても大きな差があり、都市部では待機児童が多い一方、地方では定員割れが発生している地域もあります。「日本」にお願いしたのが間違いだったのかもしれません。

いずれにせよ、「保育園落ちた日本〇ね」は日本社会の画期になったようです。

今後は、保育士確保と制度改革をセットで進め、持続可能な保育体制を築くことが問われています。

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