東大70年ぶりの新学部はエッセーや英語面接で選抜:「慶応SFC化」を憂慮する声

東京大学は2027年度の入試から、新学部の創設にあわせて受験方式を大幅に変更し、既存の一般選抜の募集人員を合計で100人減らす方針を発表しました。新設されるのは「カレッジ・オブ・デザイン」という文理融合型の5年一貫課程で、授業はすべて英語で実施され、定員100人のうち半数を留学生とする国際色を押し出したプログラムです。

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この新学部への入試には、日本国内の教育を受けた受験生向けの「ルートA」と、海外教育経験者向けの「ルートB」の2種類が設けられます。共通テストやエッセー、英語面接、国際試験などを組み合わせて総合的に評価するという仕組みで、従来の「筆記中心」の試験とは大きく異なります。また、同年度の他の東大学部との併願もできないそうです。

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こうした変更に対し、大学の国際化を歓迎する声がある一方で、懸念や批判も相次いでいます。

とくに指摘されているのが、共通テストや個別試験で実力を示して東大に挑戦してきた地方の優秀な受験生が不利になる可能性です。面接やエッセー、英語力など「資源のある家庭」が有利な項目が重視されることで、教育格差の拡大や“東大の世襲化”を加速するのではないかという危惧が広がっています。

また、既存学部の定員を削減してまで新課程に振り分けることについても、「国内の学生に対する門戸が狭くなる」「日本社会のための人材育成という東大の役割が薄まる」といった疑問が出ています。

さらに、新課程で重視される「デザイン」の概念も、「創造性や社会貢献を育てる」といった理想は理解できるものの、評価基準があいまいで主観的になりやすい点から、公平性や客観性への不安が残ります。

出願開始は2026年秋、合格発表は2027年2〜3月を予定していますが、今後の制度設計次第では、大学教育のあり方そのものに対する議論が一層高まりそうです。