ベトナム技能実習生の逃亡5500人の意味するところ

佐賀県伊万里市で、日本語講師の女性とその母親が刃物で襲われた事件で、ベトナム人の技能実習生、ダム・ズイ・カン容疑者(24)が逮捕されました。容疑者は被害者の家に侵入し、現金1万円あまりを奪って40歳の女性を殺害し、70代の母親にもけがを負わせた疑いがあります。

察は寮から血のついたナイフを押収し、詳しい経緯を調べています。容疑者は「何も話したくない」と話しているそうです。

技能実習制度(団体管理型)のしくみ 国際人材育成機構HPより

この事件をきっかけに、技能実習制度の問題も注目されています。技能実習制度では、もっと良い条件で働きたいと考えて逃げ出す実習生が多く、令和5年には約9800人が逃亡しました。そのうち約5500人、つまり半分以上がベトナム人でした。

逃亡した実習生の一部がSNSなどを通じて犯罪グループに関わるケースも報告されています。令和6年には、来日外国人による刑法犯が約6300人で、そのうち実習生・元実習生は約1000人、うちベトナム人が約650人でした。

こうした状況を受け、政府は令和9年度から技能実習制度を「育成就労制度」に切り替える予定ですが、根本的な改善にはつながるかは疑問が残ります。

※日本の制度設計上、外国人労働者は「労働者」として正式に扱われず、「人材育成」や「国際貢献」などの名目で受け入れられています。しかし実態は明らかに労働力として依存しており、そのギャップと差別的構造をあぶり出すために、安田氏はあえて「低度」という言葉を使用しています。

外国人問題は国政選挙を左右するほどのイシューとなってしまいました。

ここでも日本の硬直化した雇用問題が根底にあるように見受けられます。

 

新制度では職場を移ることができるようになりますが、その一方で都市部に実習生が集中する懸念もあります。