人工知能(AI)開発企業のオルツは、2024年10月に東証グロース市場へ上場しましたが、過去の決算において最大9割にのぼる売上高を過大計上していたことが明らかとなり、2025年8月31日付で上場廃止となることが決定されました。
東証、オルツを上場廃止に 売上高最大9割水増しの不正でhttps://t.co/T94qKLVPYq
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) July 30, 2025
これは新規上場時の申請書類に虚偽の情報が記載されていたことによるもので、東京証券取引所は「極めて重要かつ巨額な虚偽」として重大な違反と認定しています。
【悲報】AI企業、上場後10ヶ月で倒産
オルツ
・上場前→資金調達80億
・上場時→IPOで55億
・上場後→たった10ヶ月で上場廃止、倒産、負債24億
「売上の9割が実在しない顧客」って…。
これ、ふつうに詐欺会社。
消えた金、どこいったの?#オルツ #米倉千貴 #日置友輔 #藤田豪 pic.twitter.com/TQT8353KW2— 藍染ガレソの悲報(兼業投資家 (@aigare01) July 30, 2025
オルツは、主力の議事録作成サービス「AI GIJIROKU」において、実態のない取引を売上に計上し、広告代理店などを介して循環取引を行っていました。
オルツ、広告宣伝費・研究開発費を支出し、販売代理店にお金をまわして売上高を計上する循環取引。
当初は同一法人に売上と費用を両建て計上していたが、前任監査人から純額計上を要請されたことで循環取引に繋がっていった。
また、広告費が多額になったためコンサル名目で研究開発費に変更している。 pic.twitter.com/pcn8J9HVfX— もり まさや ┃ 会計士・税理士 (@MoriMasaya1) July 28, 2025
その結果、2021年から2024年にかけて約119億円の売上、115億円超の広告宣伝費、13億円超の研究開発費を過大に計上していたと、第三者委員会が28日に報告しています。実際の有料利用者も公表値と大きく乖離しており、不正の規模と悪質さが浮き彫りになっています。
売上の9割がウソ。オルツ社の驚愕な事実が発覚しましたね。これ、要は組織的な「 詐欺 」です。
やってたことは意外とシンプルで「ホントは無い取引を有ることにした」。ただ、一方通行だとすぐバレるから、自然に見せるためにグルグル回した。これを「循環取引」って言います。問題はこれが pic.twitter.com/6zfN8c2vGB
— なぎ|公認会計士 (@cpa_nagi) July 28, 2025
なんで見過ごされたかというコト。
実は、「循環取引」はすぐには気が付きづらいものです。理由はオルツ社が取引した
①の「広告宣伝」は取引事実としてあって、支払もある。
②の「売上」もその契約書や証憑があって、入金もある。ので、1つ1つの取引はしっかり証明できているハズです。
— なぎ|公認会計士 (@cpa_nagi) July 28, 2025
ただ、ここの場合は9割もの取引がこのようにグルグル回っていた。そうすると当然お金は増えないし、何年もこれをやっていた歪みは当然出てくる。
「ここの決算書は正しいですよ」と、会計士(監査法人)はハンコを押してるけど、ここの前任の監査法人は、指摘していたようです。詳細はこれから— なぎ|公認会計士 (@cpa_nagi) July 28, 2025
これを受けて、同社は7月30日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請し、約24億円の負債を抱える中でスポンサー支援による再建を目指すとしています。現在は最高財務責任者の日置友輔氏が社長を兼務し、裁判所と監督委員のもとで事業の継続を図る方針です。
売上高の架空計上は監査でも基本中の基本なので、これを見抜けなかった監査法人シドーはかなり罰則くらうだろなぁ
AI新興のオルツ、民事再生法を申請 東証「IPO監査の信頼揺るがす」 – 日本経済新聞 https://t.co/wD5udD7FeC
— 村上ゆういち@魔界の税理士 (@Jeanscpa) July 30, 2025
日本取引所グループのCEOは「IPOや監査制度の信頼を揺るがす事態で遺憾」と述べ、再発防止策の検討を進める意向を示しました。主幹事であった大和証券のCFOも「投資家に損失が発生したことは遺憾」としつつ、審査体制の適切性を強調しました。
オルツの事例は、過去に上場後短期間で不祥事により上場廃止となった企業と同様、監査や審査の在り方が問われる深刻な事案となっています。

オルツ HPより






