日本のインバウンド旅行者から感じる大きな変化

谷本 真由美

現在日本に滞在しておりますが、久々に日本に来て感じることに日本に来ているインバウンドの旅行者に変化が見られるのではないかと思う次第です。

打ち合わせのために銀座に行きました。以前と比べて相変わらずインバウンドの旅行者の数は多いのですが、しかし高級品の店で買い物をしている人は非常に少なく、ブティックをぶらぶら眺めてはいても物は買っていません。

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銀座で大人気なのがユニクロです。レストランやカフェに入っている人も以前に比べると少なく、店舗の中の椅子に座ったり路上に座ってコンビニで買ってきたものを食べたり飲んだりしている人が本当に多いのです。

銀座には似合わない風景ではありますが、節約したいという旅行者が多いように感じました。

インバウンドの人々の服装や持ち物も以前に比べるとかなり貧相です。

北米や欧州の人々は伸び切ったTシャツやかなり安い短パンにビーチサンダルで歩き回っています。

イギリスに住んでいる私からするとイギリスでは全く見かけないような随分安っぽい格好だなと感じました。

イギリスの旅行者もいたわけですがロンドンであれば割と最新流行の高めのサンダルやスニーカーを履いている人が多く、服装もここまでカジュアルではありません。旅行者や一般の人の経済レベルは靴でわかります。

夏ですから女性の場合はちょっとおしゃれなワンピースを着ている人も多いのです。男性の場合中流以上であれば夏でも短パンは履きません。バッグもそれなりの値段のものです。

特に高級店が立ち並ぶ繁華街に行く場合は、成人だとさすがにビーチサンダルは躊躇する方だらけです。男性の場合はシャツを着ます。

イギリスの人々は意外と見た目を気にします。欧州大陸だともっと気にするので、それなりの格式のブランド品店やホテルに行くならジャケットを着る人もいます。でも日本のインバウンド旅行者はそんな人達は超少数派です。

北米や欧州でもお金があまりなくドレスコードがない階層が来ているということです。つまり中流以下です。

富士山にも行きましたが驚くべきことに以前はインバウンドの旅行者が団体で押し寄せていた富士山の麓の博物館や観光スポットに中国の人すらほとんどいませんでした。

土産物店にはインバウンドの人向けのキラキラしたキーホルダーや金色の置物がありましたが誰も買っていません。

香港と台湾から来た家族がほんの少しいましたが団体客はほぼ皆無です。現地はすでに夏休みになっており、7月は旅行のピークなのに富士山の麓には来ていないようです。

いくつかのサービスエリアに行きましたが、以前は大勢見かけたインバウンドの観光客が皆無です。

以前は小田急の特急ロマンスカーは箱根に行く中国人観光客だらけでしたが、時間や日程を変えてみてもガラガラです。乗っているのは通勤や買い物の日本人客だらけです。

7月5日に大地震が起きるという予言の日はとっくに過ぎていましたので、災害を恐れて観光を控えていたというわけではないのではないでしょうか。

中国や韓国だけではなく北米や欧州、オーストラリアの旅行者も以前より少ないのです。

さらに欧州から日本に飛行機で移動した際も、以前に比べるとインバウンドの観光客が非常に少なくビジネス客だらけだったのです。

空港も以前ほどはインバウンドの観光客がいません。

実際にインバウンドの売り上げは日本で落ちているという話もありますし、訪日客は相変わらず多いようには見えても以前よりはその観光熱は下がっているのではないでしょうか。

これには各国の経済状況が思わしくなく今年は特に旅行費用を節約している消費者が非常に多いという背景があります。

また以前は世界中にあふれていた中国人の観光客ですがイギリスの場合昨年からほぼ消えてしまった状態になっています。中国人観光客に頼っている店舗は商品がかなり余っているのでセールだらけです。

中国の景気は想像以上に悪いというのが実情かもしれません。