日本の常識はバングラデシュの非常識

MD MARUF HASSAN/iStock

投資家コミュニティ資産設計実践会メンバーと行くバングラデシュのスタディツアーが終了しました。不動産視察だけではなく、日本人が知らないバングラデシュの超富裕層の暮らしぶりを垣間見る機会もあって刺激的でした。

 

経済成長が続いているバングラデシュですが、街の喧騒は変わりません。車のクラクションの音が鳴り響き、道路の渋滞と荒い運転は相変わらずでした。また、お料理がスパイシーで香り高いのも特徴です。カレーやビリヤニばかり食べていましたが、日本では味わえないクオリティで大満足でした。

バングラデシュはタイやカンボジアといった仏教国とは異なりイスラム教の国であることもあって日本との価値観がかなり異なります。

それを強く感じるのは、お酒に対する価値観の違いです。

バングラデシュのダッカにあるローカルなレストランでは、お酒はほぼ100%提供されていません。

宗教上の理由から飲まない人が多いことがその理由です。また、アルコール免許の取得価格が高いことで商売として成り立たないのかもしれません。

バングラデシュの人たちは、男性同士であってもお茶を飲んだりスイーツを食べたりしながらおしゃべりを楽しんでいます。甘党が多く、立派な髭を生やした人がお菓子を食べているのを見ると何とも微笑ましい気持ちになります。

ただ食事も脂質の多いカレーに炭水化物の米を食べているせいもあってかお腹がぽっこりしている人たちが多くいます。あまり歩く風習がないこともあってか、糖尿病の人が多いそうです。

ダッカでは船上クルーズにも出かけ(写真)、日差しが強い中冷たい飲み物が欲しくなりました。でもビールなどのアルコールは一切なく、コカコーラやジュースだけが提供されました。

ダッカの中心部でお酒が飲めたのは、ホテルや日本食を提供する外国人が経営するようなお店か、富裕層が集まる会員制のクラブなどに限らました。アルコールが無いのは当たり前で、お酒を路上で飲んだりする人はまったくいません。

帰りの空港ではシンガポール航空のラウンジに行きましたが、ビールは基本有料で提供されていました。しかもローカルなビールが小瓶1本で約1500円です。日本では考えられません。

今回スタディツアーに一緒に出かけた日本人メンバーは私を含めてほとんどはお酒が大好きなので、食事の時に飲めないのは非常にストレスです。

日本人からするとアルコールが簡単に手に入らない事はとても不思議かもしれません。でもバングラデシュの人たちからすれば、当たり前の日常です。どちらが正しいかという問題ではなく、そもそもの文化や風習が異なるのです。

飲酒の習慣だけでもこれだけの違いがあるのですから、お互いの価値観を相互理解するのは、大きなエネルギーが必要であることがわかります。

日本の常識はバングラデシュの非常識。自分の価値観を押し付けるのではなく異なる価値観を受け入れる大人の関係をそれぞれの国の人たちと構築したいものです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年8月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。