この人の子どもを産みたい!それ以外の理由なんて、全部後付け

clownbusiness/iStock

本書の著者、松谷さんは娘(15歳)に聞かれた。

「ママ、なんでパパと結婚したの?」

松谷さんは即答した。

「この人の子どもを産みたいと思ったから」

娘は「え、それだけ?」って顔してた。そう、それだけ。学歴? 年収? 家柄? そんなもん、どうでもよかった。実は3度目の結婚なんだけどね。

母と娘の関係を変える魔法の言葉術」(松谷英子 著)WAVE出版

男女平等? いや、そもそも別の生き物でしょ

最近やたらと「ジェンダーレス」だの「男女の違いなんてない」だの言うけど、ちょっと待てよ、と思う。

赤ちゃんを産めるのは女だけだ。これ、差別じゃなくて事実。生物学的な役割が違う。ホモサピエンスとして、オスとメスは違う。当たり前だ。

でもね、これをネガティブに捉える必要はない。むしろ逆。違うからこそ、補い合える。違うからこそ、美しい。

「男女はわかり合える」なんて幻想は捨てた方がいい。わかり合えないから、寄り添うんだ。完璧に理解できないから、想像力を働かせる。そこに愛が生まれる。

……って、3回も離婚してる私が言うのもなんだけど。いや、だからこそ言えるのか。

1回目と2回目の結婚は、親の期待に応えようとした結果だった。

「いい大学出てる人と」「安定した収入のある人と」「家柄の釣り合う人と」

母親は呪文のようにそう言い続けた。で、その通りにした。結果? 2度の離婚。

高級車があっても、別荘があっても、心は空っぽだった。朝起きて、隣に寝てる人の顔を見て「あ、この人と一生過ごすのか」って思った瞬間の絶望感。あれはキツい。

男を立てる? それは戦略だ

「人前では男を立てなさい」

これも娘に言った。古臭い? いや、違う。これは愛情であり、戦略だ。

男のプライドなんて、ガラス細工みたいに脆い。人前で恥をかかされたら、一生根に持つ。だから、助言は2人きりの時にする。人前では立てる。

これ、媚びてるんじゃない。賢い女の生存戦略。男を手のひらで転がす、なんて言うと悪く聞こえるけど、要は「相手を気持ちよくさせながら、自分の望む方向に導く」ってこと。

……あ、これ夫に読まれたらマズいか。まぁいいや。

中学生になれば、異性を意識する。当たり前だ。ホルモンがそうさせる。

で、現実問題として、中学生でも妊娠する可能性がある。生理が始まってる女の子も多いし、性欲は年中無休だ。

だから娘には包み隠さず話してる。「あなたの体は、もう赤ちゃんを産める体なのよ」って。脅しじゃない。事実を伝えてるだけ。

その上で「だからこそ、『この人の子どもなら産んでもいい』と思える人を選びなさい」と。

男と女の、美しい非対称性

男女は平等であるべきだ。機会も、権利も、尊厳も。でも、「同じ」である必要はない。

女は命を宿し、産む。男にはできない。 男は物理的に強い(ことが多い)。女は精神的に強い(ことが多い)。男は単純。女は複雑。男は忘れる。女は忘れない(特に恨みは)。

この違いを認めた上で、互いを尊重し、補い合う。それが本当の意味での男女平等じゃないか?

男と女は、わかり合えない。でも、だからこそ一緒にいる意味がある。

完璧に理解できる相手なんて、つまらない。謎があるから、飽きない。違うから、発見がある。

娘にはもっと早く気づいてほしい。だから、嘘も隠し事もせず、全部話した。

「ママ、重い」って言われた。

でも、いいんだ。いつか、娘が「この人の子どもを産みたい」って思える人に出逢った時、私の失敗が少しでも役に立てば。

あ、息子(18歳)には何て言おう。「女を泣かせたら、母さんが許さない」かな。

いや、それじゃマザコン製造機だな。

難しい。でも、それが親ってもんだ。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)