トランプ米大統領は第2期政権で初となる国連総会の一般討論演説を行い、国連や欧州への厳しい批判を展開した。演説は1時間に及び、移民政策や気候変動、国際紛争への対応など幅広いテーマを網羅し、自身の外交成果を強調した。概要は以下のとおり。
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国連批判と自賛
自ら7つの戦争を終結させたと強調し、国連は「途方もない可能性を持ちながら期待に応えていない」と非難。国連は「問題を解決せず、むしろ新たな問題を生む」と述べ、実行力の欠如を指摘した。 -
気候変動とエネルギー政策
気候変動を「史上最大の詐欺」と断じ、国連や他国の環境政策を痛烈に批判。再生可能エネルギーを「グリーンエネルギー詐欺」と呼び、化石燃料推進を正当化した。 -
移民政策と欧州批判
不法移民を「攻撃」「侵略」と呼び、国連が資金提供していると主張。英国、ドイツ、ギリシャ、スイスなど移民受け入れ国を名指しして「地獄に落ちる」と警告し、自らの反移民政策を世界に広げるよう呼びかけた。 -
中東・ウクライナ情勢への対応
パレスチナ国家承認を「ハマスへの報酬」と批判し、ガザ停戦と人質解放を求めた。ウクライナ侵攻を続けるロシアやロシア産原油を購入する中国・インドを非難し、欧州にもロシア産エネルギー削減を求め、戦争終結のため強力な関税発動に言及した。 -
安全保障・核・生物兵器
イランによる核兵器保有を断固拒否すると表明し、アメリカ軍による核施設空爆を正当化。生物兵器禁止条約の履行をAI認証システムで主導するとし、「国連は建設的な役割を果たすべき」と述べた。 -
国連への批判
演説開始直後にテレプロンプター故障と国連ビルのエスカレーター停止に遭遇し、「国連から得たのは壊れたエスカレーターとプロンプターだけだ」と皮肉。会場から笑いも起こったが、全体は米国内向け集会さながらの戦闘的な語り口だった。

国連総会で演説するトランプ大統領 ルビオ国務長官Xより
トランプ大統領の国連演説は、国際協調よりも米国第一主義を鮮明に打ち出す内容となった。自らの外交実績を誇示しつつ、国連や欧州の政策を名指しで批判し、移民・気候変動対策の欺瞞・国際紛争などで行動重視を訴えた。国連に一定の支持を示しつつも、現状の機能不全を鋭く突いた演説だった。






