自民が衆院比例50議席削減を容認へ:自民・維新が歩み寄りの急転直下

自民党と日本維新の会の連立協議が急展開を見せている。維新が絶対条件として掲げた「国会議員の定数削減」をめぐり、衆議院の比例代表を50議席削減する案で自民が歩み寄る構えを見せた。公明党の連立離脱に続き、わずか数日で選挙制度の根幹を変更する決定が下されるという異例の事態となっている。

  • 自民・維新両党は、衆議院の比例代表(現在176議席)のうち50議席程度を削減する方向で最終調整に入った。自民党はかねて「比例代表の廃止」を志向しており、維新案を「渡りに船」として受け入れる姿勢を示している。
  • 吉村洋文代表は「定数削減がなければ連立はあり得ない」と明言。維新が掲げる「定数1割削減」を事実上の連立条件として突きつけ、自民に圧力をかけた。これに対し自民は「比例を中心に削減」で応じる案を提示した。
  • 維新の提案はダメモトとみられていたが、玉木雄一郎代表が「定数削減法案が出れば賛成する」と明言したことで情勢が一変。国民民主党の支持も得たことで、臨時国会での可決・成立の可能性が現実味を帯びてきた。
  • 自民党幹部は「公明が抜けた以上、維新との協力で衆院過半数を固めるには政策合意が必要」と説明。比例削減を受け入れることで、維新の求心力を利用しつつ選挙制度改革を自党に有利な形で進める思惑があるとみられる。
  • ただし、比例50減は小党や中間政党には致命的で、国民民主党にも不利に働く可能性が高い。比例代表は民意を広く反映する仕組みであり、その削減は「民意の切り捨て」につながるとの批判も強まっている。
  • 少数政党からは「大政党の議席独占を狙うもの」として強い反発が出ている。共産党や立憲民主党内でも「選挙制度の根幹を拙速にいじるべきではない」との声が上がっており、国会論戦の火種となるのは必至。
  • 立憲民主党の野田佳彦代表は「58日間の臨時国会で定数削減を議論し、結論を出すのは現実的ではない。順番を誤ってはならない」と強調した。

  • しかし、民主党政権時代に「衆院議員定数80削減」を公約として掲げ、衆院選マニフェストにも明記していたことが有権者に記憶されており、そのことの批判が起きている。

わずか3日間で、連立協議の流れが公明党離脱から比例削減合意へと急転した。維新の「議員定数削減」がダメモトから現実的政策課題へ変わり、玉木氏の賛同で成立の可能性が一気に高まっている。

比例50削減は自民にとって受け入れやすい一方、中堅・小政党には打撃となりかねない。選挙制度の根幹を揺るがすこの動きが、今後の政界再編の引き金となる可能性がある。

自維党首会談後に会見をする高市早苗総裁 自民党HPより