日本経済新聞電子版によれば外国人観光客の数は今年も増えており、1月からの累計訪日客数は過去最速で3000万人を突破したそうです(図表も同紙から)。

海外の人が来日して日本を知ってもらい、日本国内で消費をしてもらうのはありがたいことですが、問題になっているのはオーバーツーリズムです。
東京でもバスや地下鉄に大きなスーツケースを持った外国人を見かけることが多くなりました。ラッシュの時間帯に重なると、混雑がいっそうひどくなり、乗客のストレスが溜まります。
京都ではもっとひどいことになっているみたいです。
オーバーツーリズム解消のためには、来日する外国人の数をコントロールするしかありません。例えば、入国税のような課税が考えられます。
カンボジアでは入国前に観光ビザの申請が必要になっており5000円から6000円ほどの費用がかかります。実質的な入国税のような位置づけになっており、日本もこの方法を導入してどうでしょうか?
また、外国人観光客が来日中に消費する単価を大きくしていくことも大切です。
そのためには海外から来る富裕層のニーズに合った高くても満足できる設備やサービスを提供する必要があります。
例えば、団体ツアーではなくオーダーメイドで希望を叶える高額のプライベートツアーを利用してもらえれば一人当たりの客単価は跳ね上がります。
またホテルも富裕層外国人が満足できるような部屋やサービスをもっと充実させていくべきです。特に地方の名旅館は外国人に対してフレンドリーなサービスが少なく、英語で利用ルールを丁寧に説明するようにすればもっと利用者が増えるのではないでしょうか。
そして、観光地の分散化もオーバーツーリズムの解消に有効です。日本にはまだ知られていない素晴らしい観光資源がたくさんあります。
日本人ですら行ったことのない場所や食べたことのない食事を発掘し、外国人に周知していくことで、大阪、京都、東京といった大都市に集中している外国人観光客が全国各地に出掛けるようになります。
メディアで紹介されていたのは、豪雪の田舎町が打ち出した冬の雪かきツアーでした。外国人に除雪作業に参加してもらい、北国の冬の厳しさを体験してもらう。雪のない国から来た人たちにとっては、極めて新鮮な体験で、参加費を払ってわざわざ北国まで雪かきをしに来てくれます。
多くの外国人は東京の安いビジネスホテルに泊まって、ラーメンや回転寿司を食べ、ドラッグストアで化粧品やスナック菓子を買い漁って原宿や渋谷の繁華街を歩きまわるだけです。
これでは、混雑がひどくなるばかりで、経済的なメリットはありません。
外国人観光客の数を競うだけではなく、その人たちの一人当たり消費額を伸ばすことにもっと力を入れるべきだと思います。

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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年10月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。






