物価上昇「2%以上」が3年半続いても「物価2%目標の確度が高まっている」?

日銀の植田和男総裁は30日の記者会見で、政策金利の据え置きを発表した。高市早苗政権発足後初の会見となり、市場は政府との距離感や今後の利上げ時期に注目した。総裁は「海外経済の不確実性が高い」として慎重姿勢を崩さなかったが、「物価2%目標の確度が高まっている」と述べ、利上げの可能性も示唆した。

  • 政策金利は現行水準を維持し、利上げを見送った。理由は「海外経済などを巡る不確実性が高い中で、もう少しデータを見たい」と説明した。
  • 「経済・物価情勢の改善に応じて政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調節する」とし、利上げ路線を維持する考えを明言した。
  • 「2%の物価目標の確度が少しずつ高まってきている」と述べ、物価上昇が持続していることを認めた。
  • 総務省が24日に発表した9月の消費者物価指数(CPI)は、生鮮食品を除く総合で前年同月比2.9%上昇した。2%を超える物価上昇は2022年4月から3年半続いている。その中でも「見通しが実現していない」とし、目標達成の判断基準は依然あいまいなまま。

  • 「データによって十分な確信が得られれば、政治状況にかかわらず引き上げる」と述べ、政府の意向に左右されない独立姿勢を強調した。
  • 国内では食料品価格の上昇が鈍化する一方、賃金上昇と基調的な物価上昇が続く見通しを示した。
  • 高市政権との関係では「政府とは丁寧に意思疎通していく」と述べ、市場の懸念を和らげた。

植田総裁は「2%目標の確度が高まっている」と強調しつつも、具体的な利上げ時期を示さなかった。物価が長期にわたり2%を超えても「なお見通し」と言い続ける姿勢には、慎重を通り越した迷いが見える。

植田和男総裁 日本銀行HPより