トランプ大統領「G2宣言」の衝撃:米中が手を結んだら日本の立場はどうなる?

トランプ大統領は、10月30日に韓国・釜山で開催された習近平中国国家主席との会談について「非常に有意義だった」「G2会談」と自身のSNSに投稿し、自ら賞賛した。米大統領が公に「G2」という言葉を用いた事例は異例で、この発言を巡り、世界戦略・同盟関係・米中関係の転換点として波紋を広げる可能性が指摘されている。

トランプ大統領「Truth Social」より

中国の習主席とのG2会談は、両国にとって素晴らしいものだった。この会談は永遠の平和と成功につながるだろう。中国とアメリカ合衆国、両国に神のご加護を!

  • 10月30日、トランプ大統領と習近平国家主席が韓国釜山で会談を行った。
  • 同会談後、トランプ大統領は自身のSNS「Truth Social」に「My G2 meeting with President Xi of China was a great one for both of our countries. This meeting will lead to everlasting peace and success. God bless both China and the USA!」と投稿。
  • 米ホワイトハウスが「Fact Sheet:President Donald J. Trump Strikes Deal on Economic and Trade Relations with China」を11月1日に公開。合意の枠組みや内容を公式に発表している。
  • 米国が中国からの輸入品に課していた関税を、57%から47%へ引き下げる。
  • 中国が米国の大豆など農産物を大規模に購入することで合意。
  • 中国が、希土類(レアアース)など戦略物資の輸出規制を停止・見直すことで暫定合意。
  • 米国が中国企業に対する技術輸出制限や海運・港湾関連の措置を1年間停止・猶予する合意。
  • ヘグセス国防長官も「米国と中国の関係は良好」とXに投稿。
  • 今回、トランプ大統領が会談を「G2会談」と呼んだ点が注目されており、米中が「対等な存在として認識し」「二国間枠組みで世界を回そう」とする発想の表れとみられる。報道では、これは従来の「アメリカ最強・主導」ポジションを放棄したとも受け止められている。
  • 一方で、「具体的な制度設計・長期的構造改革・軍事・技術覇権など根本的な対立課題は手付かず」で、今回の合意は「戦術的休戦」に過ぎず、大きな転換とは言えないとの見方もある。
  • トランプ政権が交渉の主導権を握れていないという見方が広がっている。
  • また、日本を含む同盟国側にとっては、米中が手を結ぶ「G2」の枠組みが現実化すれば、「中国に真正面から向き合った政策を取ると、米国が最後まで支援してくれない」というリスクが払しょくできない。
  • 紆余曲折はあってもG2体制で安定した方が望ましいという論調も散見されつつある。

トランプ大統領が今回の会談を「G2会談」と明言したことは、米中関係をこれまでの「競争・主導型」から「二国間協調・共同運営型」へと向ける可能性を内包している。一方で、合意内容は根本的な構造的改革を伴うものではなく、むしろ戦術的な「休戦合意」に過ぎないとの見方も根強い。特にアジア・太平洋地域の同盟国や中継貿易国にとっては、米中の新たな枠組みにどう立ち位置を取るかが急務となりそうだ。今後、G2構想が単なる言葉に留まるのか、あるいは実効的な枠組みとして具体化するのかが注目される。

トランプ米大統領と中国・習国家主席が会談 トランプ大統領と習国家主席 2025年10月30日 中国共産党新聞より