徐々に進んでいるヨーロッパの「イスラム化」

この10年間でヨーロッパのイスラム人口が急増

2010年にヨーロッパで生活していたムスリムは3,900万人だったが、10年後の2020年には4,600万人にまで増加している。ヨーロッパ人が少子化する一方で、ムスリム人口は高い出生率を維持している。さらに、イスラム圏からヨーロッパへの移民が増加していることで、ヨーロッパ諸国の人口に占めるムスリムの割合は着実に高まっている。

極端な例として、スペイン領でモロッコに隣接する2つの自治都市であるセウタ市とメリーリャ市では、12校ある学校のうち3校で生徒が100%ムスリムとなっている現象が見られる。他の学校でもムスリムの生徒が76%を占めている。そのため、学校給食から豚肉料理が姿を消したという。

スペインではムスリム人口が5%に

スペインにおけるムスリム人口は現在約240万人で、総人口4,600万人の約5%を占めるまでになっている。筆者が47年間住む人口3,800人の小さな自治体でも、近年はモロッコ人の人口が急増しているのが観察される。特にこの5~6年で顕著で、その数はおよそ300人に達し、学校でもモロッコ人の子供が増加している。彼らの家庭では最低でも2人の子供がいるのが一般的だが、スペイン人家庭は子供1人か2人という構成が多く、3人以上の子供を持つ家庭は稀である。街にはモロッコ人が経営する八百屋も新たに2軒オープンした。

20~30年後にはムスリム政党が欧州議会に登場か

この記事の参考にしている10月25日付電子紙「ラ・ガセタ」によると、ヨーロッパで最もムスリム人口が増えているのはスウェーデンとドイツで、それぞれ人口の8%と7%を占めるまでになっている。また、英国やフランスでは、キリスト教を信仰する住民がすでに過半数を割っているという。

さらに、同紙によればヨーロッパに住むムスリムの平均年齢は34歳と比較的若く、将来的にも家族が増加することは確実である。

ピュー研究所(Pew Research Center)によると、このわずか10年でヨーロッパにおけるムスリム人口は16%増加したとされる。この推移から考えると、今後20年から30年後にはムスリムによる政党が欧州議会に登場し、イスラム文化の影響が政治や社会にも大きな影響を与えるようになるのは間違いないだろう。