3〜4日前にヨーロッパの研究者から下記のメールを受け取った。全く面識のない研究者だったので、迷惑メールと思って無視していたが、下記のメールに「私も勝手に名前を使われていた」という返事を送り返す研究者が続出した。私の名前も利用されていた可能性があると注意喚起のために送ってくれたメールだった。
I am writing to bring a serious matter of academic fraud to your attention.
Our research team recently discovered that one of our published studies was plagiarized and republished in the Asian Journal of Ethics in Health and Medicine.
Upon investigation, I contacted the listed Editor-in-Chief, Prof.XXXXXX, using his official university email instead of the one listed on the predatory journal’s website. He confirmed that his name and affiliation have been used without his authorization and that the journal’s information is entirely fraudulent.私は、学術不正という重大な問題について、皆様の注意を喚起するために筆を執っています。
私たちの研究チームは最近、私たちが発表した研究論文の1つが盗用され、『Asian Journal of Ethics in Health and Medicine』に再出版されていたことを発見しました。
調査の結果、私はこの捕食的な(プレデターあるいはハゲタカ)ジャーナルのウェブサイトに記載されているメールアドレスではなく、編集長として記載されているXXXXXXX教授のアドレスではなく、彼の公的な大学のメールアドレスを使って連絡を取りました。彼は、自身の氏名と所属が無断で使用されており、このジャーナルに掲載されている情報は完全に詐欺的なものであることを確認しました。
本当ならば、さすがに見過ごしにはできないので、恐る恐るWEBサイトを確認したところ、アドバイザーとして私の名前と写真が掲載されていた。連絡をくれた研究者が他の雑誌に報告知ら論文を、無断でこの雑誌に掲載していただけでも立派な犯罪だ。ましてや、私が無断でアドバイザーとして写真付きで利用されたことは信じられない。
ハゲタカ雑誌は、雑誌掲載の学術的基準を下げて、何でも掲載して掲載料を荒稼ぎすることが大問題となっているが、ここまで悪質なのは聞いたことがない。連絡をくれた研究者は、個人では対応せず、警察にサイバー犯罪として対応するように求めたそうだ。
学術の分野にどこまで深い闇が広がっているのか、底の見えない井戸を覗き込んだ気分になってきた。

Pixelci/iStock
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編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2025年11月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください







