2017年、パナマが台湾と国交を断絶した出来事があった。その背景には、同年にファン・カルロス・バレラ大統領(2014〜2019)が中国から1億4500万ドルの賄賂を受け取っていた事実があったことが、後に明らかになった(11月21日付「インフォバエ」より引用)。
この高額の賄賂こそが、パナマが100年以上続いた台湾との関係を断絶させるために大統領に提供された資金だったことになる。しかも、その資金はバレラ氏の私腹を肥やす目的にも使われていた。
パナマと中国の親密な関係は2016年頃から芽生えていた。中国企業が複数の建設プロジェクトに優先的に参加するようになったためだ。
さらに当時のバレラ大統領は、パナマ運河を通過する船を見下ろせる位置にある4ヘクタールの土地を中国政府に譲渡し、そこに中国大使館を建設できるよう手配した。しかし、この譲渡はパナマ国内で外交問題に発展した。
米国は、中国がパナマ運河をコントロールしようとしていると受け止め、パナマ政府に警告を発した。さらに、パナマの著名人の米国入国ビザを却下する用意があることも伝えた。こうした圧力を受け、バレラ大統領は中国大使館の建設地をパナマ運河から離れた場所に変更させた。
またバレラ大統領は、パナマのC5セキュリティセンターの運用企業をジェネラル・ダイナミクス社からファーウェイ社へ変更した。このような中国との関係強化により、中国人エンジニアが頻繁にパナマに滞在するようになっていた。
バレラ大統領のケースは、中国がいかにして一国の影響力を掌握しようとしているかを示す典型例である。彼の退任後、このような中国との特別な関係は消滅した。






