日中対立ではなく、日本に対する中国の一方的過剰攻撃

高市総理の発言に端を発し、中国の過剰反応が続いている。最近は第2次世界大戦の戦勝国としての立場からの脅迫的発言も出ているが、中華人民共和国は大戦の戦勝国ではない。

中華人民共和国の建国宣言は1949年の10月1日に発せられている。日本が受け入れたポツダム宣言は、1945年7月26日にアメリカ、イギリス、中華民国の政府首脳の連名において発された宣言であり、その時に存在しない国が戦勝国でありうるはずがない。

日本が敗れたのは、蒋介石率いる中華民国だ。もちろん、当時日本の占領下にあった韓国が戦勝国でありうるはずもない。これが最低限の歴史認識である。中華人民共和国が第2次世界大戦の戦勝国のような言動をすること自体が馬鹿げているのだ。中華人民共和国が中華民国(台湾)に代わって国連の常任理事国なったのは1971年である。

と、話は少し逸脱したが、今回の中国=中華人民共和国の高市総理発言に対する反応はどこから見ても異常だ。大阪総領事の発言など常軌を逸しており、総領事としてではなく、人間としての常識が欠落している。

日本からの水産品の輸入を再び止める、日本への観光を自粛させる、日本への留学を抑え込む、日本への飛行便を欠航させるなど、勝手にしろと言いたい。観光業界が困っているから、高市発言を撤回すべきという人が少なくないが、間違っているわけではない総理の発言を撤回させなければならないほど、中国人訪日客が落とすお金が大事なのか?日本人としての誇り・矜持はどこへ行ったのか?

台湾海峡が軍艦で封鎖され、米中対立が起これば、次は尖閣列島であり、南西諸島となる。戦争をしてもいいのかと馬鹿の一つ覚えを言っている文化人と称する人がいるが、危機管理とは最悪を想定したものだ。最悪を想定した危機管理に基づいた前提ならば、当然の発言だ。

玉虫色にごまかしていればいいと言うが、ウクライナの現実を見ているのかと問いたい。クリミア半島に侵攻した時に、あいまいにした欧米の甘さが、今日のロシア・ウクライナ戦争を招いたのだ。

かつて非武装中立国を謳い文句にしていた政党があったが、世界は甘くない。高市政権への20〜30歳代の支持が高いのは、戦争が悪くないと思っているからではなく、世界の情勢を客観的に把握しているからだ。

広島や長崎の原爆被害を見て、戦争は残酷だからすべきではないとみんな思っている。しかし、パレスチナやウクライナの報道を見て、備えをしていなければ日本も同じ状況に陥ることを恐れるのは当然なのだ。戦争をしたくないと日本が願っているだけでは、何の抑止力にもならない。

私が生きている間は日本は平和に過ごしていくと思っていたが、中国の言動を見ていると台湾占領の地ならし・口実探しをしているのではないかと思えてくるくらい異常だ。しかし、香港の火事で、30階建てのマンション改修の外壁工事に竹を使って外枠を作っている姿には驚いた。大型空母と竹製の外枠、そのギャップが滑稽でもある。

習近平国家主席 中国共産党新聞より


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2025年11月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください