スカイツリーの麓、墨田区から台東区辺りを散歩しています。

桜橋から望むスカイツリー。
前回は墨田区本所から向島を見番通りに沿って歩いてきましたが、今回は桜橋を渡って台東区側へ。「奥浅草」と呼ばれるエリアに入ります。
奥浅草とは、浅草寺の北側、浅草観音堂の裏のエリアにあたります。奥多摩、奥日光のような山深い場所というわけではなく、賑やかな仲見世通りのある浅草寺の南側に対して、静かな下町情緒のある落ち着いた地元の方の生活の垣間見える街並みが広がるエリアです。
縁結びニャン!招き猫のふるさと今戸

何がインパクトあるって、会社名が「ナウい」だよ!
浅草なのに、高田馬場の結婚相談所の電柱看板「縁結び招くニャン」。なぜこんなところに高田馬場の会社の看板があるのか、というと

そのすぐ近くに縁結びで有名な今戸神社があるからです。

今戸神社のある台東区今戸は今戸焼と呼ばれる陶磁器が造られてきました。江戸時代、ここで誕生したのが〇〆猫(まるしめのねこ)と呼ばれる招き猫の原型の猫の焼き物でした。あまり知られていませんが、招き猫誕生の地はここ、今戸なのです。
ちなみに〇〆猫とは「お金や福を丸々勢〆(せしめ)る」という意味。なかなかえげつないネーミングです。

神社の中には至る所に、猫。

招き猫の神社といえば世田谷区豪徳寺が有名ですが、あちらの招き猫は基本単独で飾られるのに対して、今戸神社ではつがいで描かれたり、おかれたりすることが多いです。それもこの神社が縁結びの神様を祀っているから。豪徳寺もそうですが、招き猫という日本独特のかわいい風習に引かれて外国人観光客が多く訪れます。

絵馬を書くテーブルにも猫。
スカイツリーを正面に山谷堀公園を歩く

今戸神社のほど近く、スカイツリーを正面に眺められる山谷堀公園に来ました。今は遊歩道になっていますが、かつてはその名の通り隅田川の氾濫を防止するためにつくられた堀がありました。

公園の片隅に船があります。これは猪牙船(ちょきぶね)と呼ばれ、かつては吉原に通う人たちがこれに乗って遊郭に遊びに行ってました。周辺には芸者遊びのできる店もあったりと華やかな場所でありましたが、意外にこの船に乗るのはバランスを取るのが難しく、よく船が回転して客が堀に転落していたそうです。

公園にはかつて今戸焼で焼かれていた品々のオブジェが置かれています。こちらは「鉄砲狐」と呼ばれており、稲荷神社に奉納されていましたが、形が鉄砲玉に似ていることからこの名がつきました。

この鳥のオブジェは「踊り雀」。スズメより鳩に見えなくもないですが「雀百まで踊り忘れず」の諺を体現した台東区有形民俗文化財に指定されている今戸焼の作品を模しています。

徐々に日が暮れてきました。先を急ぎましょう。
大根はもうなかったけれど・待乳山聖天

山谷堀公園を抜けて、待乳山聖天(まつちやましょうてん)に来ました。地中から突如隆起して現れた待乳山に龍が現れてこれを守ったことがきっかけで開かれたとされています。それゆえ、この寺院の本名は本龍院といいます。

この神社、小高いだけあってミニモノレールがあります。その名も「さくらレール」。セルフ式でボタンを押すと発車します。神社に専用の鉄道があるなんてなかなか驚きです。

御本尊は大聖歓喜天・十一面観音
この神社、モノレールも珍しいですが、もうひとつ珍しいものがあります。

それは大根を奉納すること!大根は身体を丈夫にするほか、良縁のシンボルであり、夫婦仲良く末永くくらしていけるように願います。そんな願をかけられた大根は「おさがり大根」として一般に配布されるのですが、この日はもう夕方で配布は終わってしまっていました。残念。何ですが、もらえても重いし旅の途中の私にはちょっと重かったかも…

和装の二人がいい感じ。

言問橋西交差点まで歩いてきました。ここはスカイツリーが根元の方まで見ることができる絶好のビューポイント。黄昏の空にスカイツリーのダイナミックな姿を見ることができます。
おわりに

両国から船に乗り、浅草二天門から本所を経由して歩いて歩いて再び浅草、浅草寺に戻って来ました。この散歩のゴールです。寺内も仲見世通りも観光客でごった返しています。さすが日本を代表する観光地。奥浅草とは全く異なり人の波にのまれそうです。

雷門下もすごい人!
本所から向島、奥浅草の散歩道。大都会東京の華やかさはありませんが、長きにわたりこの地に根付く文化や歴史を感じられる楽しい散歩になりました。東京はどこを歩いても新しい発見がある。とても奥の深い町だと改めて感じました。
おまけ

一緒に歩いた仲間との打ち上げは、駅へと続く地下鉄の入り口の中。

店員が忍者!…の格好をしている忍者バー。

こんな古い地下街の中にあります。なかなかにカオス。この先に地下鉄の駅があるなんてなんだか異次元の空間に迷い込んだかのよう。

こちらで電気ブランを飲んで散歩の疲れを癒しましたとさ。
編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2025年12月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。






