日本の長期金利の上昇が止まりません。10年もの国債の金利は1.87%まで上昇し、今後2%に向けてさらに上昇するという見方が増えています(図表は日本経済新聞電子版から)。

長期国債の金利は国債マーケットの需要と供給によって決定されます。財政赤字の拡大によって国債の発行金額が増えれば供給増になりますから債券が売られ金利は上がっていくことになります。
また、今後さらに金利が上がる先高感があれば、債券価格は下がっていくことになりますから慌てて買う必要はありません。買い手が様子見となれば金利が上昇するのは避けられないくなります。
長期国債の金利上昇を抑える解決策は買い手を探すことですが、機関投資家を除けば日銀くらいしか買い手は見つかりません。
金利上昇がこのまま続けば、上昇を抑えるために日銀が国債買い入れに追い込まれるかもしれません。
市場金利の上昇は日本の財政に大きなインパクトを与えます。現在の日本の財政赤字残高は1200兆円を超えています。市場金利の上昇で平均調達金利が1%上がれば年間の金利負担は12兆円増えることになります。
調達金利が3%なら36兆円ですから国の歳入の半分が利払に消えることになります。利払い負担の増加を避けるには国債を購入して金利上昇を抑え込むしかありません。
しかし、日銀が国債保有残高を増やせば日銀の保有する国債が膨らみ今度は日銀の信用リスクが高まります。
この問題は財政赤字問題の根本的な解決が見えなければ、最終的にはインフレによる実質的な財政赤字の圧縮しか道が無いように見えます。
積極財政 → 国債金利上昇 → 国債の買い支えの限界 → インフレによる政府債務の実質圧縮
というシナリオです。
日本の長期金利の上昇が2%で止まるどころか制御不能になり、急激な円安とインフレが最終的に財政赤字問題を解決する。
あまり考えたくない恐ろしい未来です。

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編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2025年12月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。






