自民党と日本維新の会が合意した「衆院議員定数1割削減法案」を巡り、国会内で与野党の対立が激しくなっている。与党側は今国会での成立を目指すが、野党各党は削減幅や決定プロセスの拙速さを批判し、議論は混迷を深めている。
- 自民党と維新は、衆院議員定数を1割(45議席)削減することで合意し、今国会での法案提出・成立を目指している。
- 合意の背景には、企業・団体献金の見直しに関する政治改革法案で、維新が自民と歩調を合わせない可能性を示し、自民側を揺さぶった経緯がある。
- 当初は比例代表の削減が中心だったが、野党から「与党に有利」との批判が出ることを懸念し、小選挙区にも踏み込む形で調整した。ただし削減幅を1割とした根拠は示されていない。
- 公明党の斉藤代表は「1年以内に結論が出なければ自動的に45議席削減するのは乱暴で、民主主義の手続きを否定するものだ」と強く批判した。
- 斉藤代表は「与党が結論を出せなかった場合に自らに有利な定数削減を自動発動するのはありえないやり方だ」と述べ、熟議不足を指摘した。
- 立憲民主党・安住幹事長は「なぜ1割か、なぜ1年か、説明が全くない」と疑問を呈し、審議の丁寧さを求めた。
- 参政党の神谷代表は「定数削減自体に反対ではないが、民意を適切に反映する選挙制度の改革が前提だ」と述べ、制度設計の議論を優先すべきだと強調した。
- 国民民主党の古川代表代行は「選挙制度こそがあんこなのに、あんこのないまんじゅうを出されても意味がない」と例えて批判し、制度改革の本体議論が欠落していると指摘した。
- 自民党内でも拙速だという声があがっており、与野党双方で「結論ありきの政治的取引ではないか」との不信感が広がっている。
議員定数削減そのものは多くの政党が必要性を認める一方で、削減幅の根拠や決定のプロセスを巡る議論は収束していない。選挙制度改革の議論を深める前に削減だけを先行させる姿勢への反発も強く、法案成立に向けた与野党協議は難航する見通しだ。

党政治制度改革本部で協議前進へ決意を示す加藤勝信本部長 自民党HPより






