農家「5年で過去最大の25%減」も集約化が進んだ兆しか

農林水産省の2025年「農林業センサス」は、基幹的農業従事者が5年間で25%減ったことを示したことが多くの日本人に衝撃を与えている。

参照:農家、5年で過去最大の25%減 共同通信

一方で、深刻な数字に見えるが、実態は売上の低い零細農家の離農が中心であり、長年続く保護政策のゆがみが表面化しただけとも言えるようだ。

  • 基幹的農業従事者は102万1千人で、2020年比で34万2千人減の25.1%減。過去最大の減少となった。
  • 減ったのは主に零細・兼業農家で、農業所得がほとんどない層の退出が進んだ形だ。
  • とくにコメに関しては、341円/kgの関税で高値が維持され、消費者は選択の自由を奪われている。関税撤廃が進めば、米需要の半分近くが安い輸入米に置き換わり、消費者の利益のなる。
  • 政府は「国内生産の減少」や「食の安全保障」を懸念するが、肥料や燃料を輸入に依存する以上、自給率が高くても危機には対応できない構造のままだ。
  • 日本の農業従事者の平均年齢は70歳近く、産業としての担い手はすでに限界に近い。危機感は20年以上前から指摘されてきたが、構造改革は進まなかった。
  • 零細農家保護を優先する与党、関税改革に踏み込まない野党の双方が、現状維持を続ける背景になっている。
  • 税金を投じて輸入されるアメリカの高品質米のカルローズが、国民ではなく飼料や輸出に回る制度も、非効率さを象徴している。

農家の急減は、日本農業の危機というより、無理に維持されてきた零細構造が自然に縮んでいる姿だ。高関税と補助金に依存する現行制度は、消費者にも生産者にも利益をもたらしていない。輸入自由化を進めつつ、世界で戦える農家を育てる方向へ転換できるかどうかが、日本の農政の分岐点になっている。