S&P 500は高値圏アンチゴルディロックス

S&P 500は下落した。週前半は高値で一進一退を繰り返したが、ORCLAVGOが相次いで決算で評価されなかったのを受けて木曜12/11、金曜12/12とでナスダックが売り込まれた。

1度目の安寄りでは押し目買いが入ったが、それが2日連続で続くようでは地合い悪化を免れなかった形となる。一時期止んでいたAI関連の過剰投資懸念はオラクル決算をきっかけに再燃した形となる

半導体やラージテックの時価総額が大きいからその下落が目立つだけで、幅広いセクターにわたってリスクオフなったわけではない。長期金利も上がったこともあり典型的なアンチ・ゴルディロックスだったということだ。

日本時間12/11未明のFOMCについては「タカ的に出て来ない限り消化され、通過と共にヘッジ解消が進みやすくなるだろう。ただ万が一想定以上にタカで長期金利も更に大幅に上昇した、となると翌営業日まで油断ならない」としていたが、世間があまりにもタカ的利上げを懸念するので前回の記事もつい流されてしまったのだが、流されたことが恥になるほど意味不明な懸念であった。

当然当日はヘッジ解消の上げが優勢となったが、リスクオンそのものがしばらく間を置いて長期金利上昇に繋がり、長期金利上昇単体で悪さをしたとまでは言えないものの、ラージテックが調整から反発しづらくはしたと思われる。

久々にGS CTA。11月の調整でだいぶポジションが落とされており、12月は買戻しに動いた。ここからは小動きになるだろうとGSは予想する。

DBのポジショニングでも一旦落としたポジションを回復している。

BofAのディーラーガンマは6900より上のコールウォールが急速に成長している。6900台前半のレジスタンスが更に強くなりつつあるということである。一方で6700近辺のプットも積み上がっており下値も脆くはない。

先週の記事では「左のガンマウォールを登って25SMAの6765近辺をタッチするのにも苦労しそうである。上値はチャート上は青天井であるが、6900前半のコールウォールがどこまでレジスタンスであり続けるか」としていたが、チャートよりもガンマ分布によって左右される週間であったと言える。

GSのファンディングスプレッドはファンディングユーザーの投資家の売り越しを示唆する。これは直近の反発にいわゆる先物やTRS投資家が参加しなかったことを示す。

NAAIMは依然最強気である。GSセンチメントも少しずつ楽観化している。NAAIMが100に近いので少なくとも高値追いは禁物ということか。

今年はシーズナリティが効かなかった年であったことがここにきて浸透しつつあるが、12月後半のシーズナリティはよい。12/16と12/18にそれぞれ11月雇用統計と11月CPIが予定されている。FOMCも終わったので強くても影響は薄く、万が一非常に弱い方に出ても、12月利下げは既にやったのだからポリシーフェイル・トレードもやりづらそうだ。

金曜12/19はOp Exが控えており、上下どちらかのガンマウォールにスポットが張り付いていた場合は通過すると再び動きやすくなり、あまり想定していないがそれまでにどちらかのウォールを越えていた場合は戻りやすくなるだろう。

テクニカル。6900台前半のガンマウォールを目前に指数は一旦調整した。とはいえ前回の記事で「左のガンマウォールを登って25SMAの6765近辺をタッチするのにも苦労しそうである」とした通り、少なくともS&P 500ベースではむしろ下げづらさが目立った。少なくともS&P 500ベースでは機械勢の売りを誘うほどの大幅下落になっていない。

サクサク下げたのはあくまでもナスダックの方である。指数の下値では引続き、25SMAと50SMAが重なる6700台後半を突破したところで、6700でピークを迎えるガンマウォールがサポートとなる。警戒すべきはむしろナスダックからのセクターローテーションであり、ナスダックは一足先に25SMA/50SMAにタッチしている。

この流れが週明け以降も続くかどうかに注目であるが、S&P 500に限定すれば6750 -6900の狭いレンジでの推移が続くのではないか。


編集部より:この記事は、個人投資家Shen氏のブログ「炭鉱のカナリア、炭鉱の龍」2025年12月14日の記事を転載させていただきました。