小池知事の報酬削減に対し都議会は議論を始めるべし

音喜多 駿

こんにちは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

今月末から開会される都議会定例会の議案の提出が迫ってきましたが、注目される一つに小池知事が選挙で公約した「知事報酬の減額」があります。

これに対して都議会(主に都議会自民党)がどのように対応するか、にわかにメディアの注目を集めています。

【小池都知事始動】小池百合子知事の公約「給与半減」に都議困惑 報酬逆転による都民感情恐れ「削減条例案否決の選択肢も」 – 産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/news/160904/plt1609040006-n1.html

 一方、議会局によると、都議の年収は全国トップの1708万175円。小池氏の選択によっては、都議の報酬が知事の収入を上回る“逆転現象”が発生する。また、都議にはこれに加え、本会議などに出席するだけで1日最低1万円をもらえる「費用弁償」や、1人あたり月60万円の「政務活動費」が会派に支給されるなどの特権は多い。 議員報酬額や費用弁償の削減などについては、超党派でつくる「都議会のあり方検討会」で協議し、年度内に結論をまとめる予定だったが、参院選、知事選の影響もあり、議論が進んでいない。

ある与党都議は「知事より収入が上だとなれば、都議会に批判が集まりかねない」と懸念を示し、「議員は数が多く、コンセンサス(同意)が得られにくい。場合によっては、知事の出した給与削減条例案の否決という選択肢も出てくるのではないか」と述べた。

(上記記事より引用、強調筆者)

「与党都議」というのが誰を指しているのかは不明ですが、何を今さら言っているのかと失望を禁じえません

記事にある通り、「高過ぎる」と批判の多い議員報酬や政務活動費、「議員特権」と悪名高き1日1万円の費用弁償は、「都議会のあり方検討会」という会議体で見直し議論がされる予定でした。

ところがこの「都議会のあり方検討会(通称:あり検、あり方検討会)」は、2013年6月に今の都議会議員の任期が始まってから実に2年以上も開かれることなく放置され続けました。

国勢調査が発表され、せめて人口動態の見直しに合わせて定数是正くらいは行わないと「世論に耐えられない」と判断し、ようやく重い腰をあげたのが2015年の9月。

そこでダラダラと定数是正のみを議論をして、ようやくまとまって改正条例案を通したのが先の6月で、しかも国勢調査の結果をガン無視した意味不明な「2増2減」で定数削減はなし

●北区で一番有名な無職になることが確定??都議会議員の定数が狙い撃ちで4→3に減らされた意味
http://otokitashun.com/blog/togikai/11750/

上記記事でも詳述してますが、2減で減らされたのは最下位当選が私と共産党議員の選挙区。自民党都議が最下位当選の選挙区は、見事に避けられています。

で、ほぼ4年間の任期をかけて(半分はサボって)「あり方検討会」は定数是正だけを議論し、あわよくばこのまま「時間切れ」を言い訳に都議選に突入し、議員報酬や政務活動費・費用弁償の議論から逃げて逃げて逃げまくろうとしていたのが、今の都議会の実態だったわけですね。

なお、以前にも繰り返し述べましたが、この「都議会のあり方検討会」は一部会派のメンバーのみで構成され、少数会派は参加することができません。私たちはカヤの外です。

そればかりか完全に「非公開」で行われ、傍聴人やマスコミ取材もなければ議事録もなし。議題を設定するのは委員長(都議会自民党)の役割で、彼が重い腰を上げなければ話し合いすらそもそもスタートしません。

●セクハラやじ問題総括・費用弁償の是非等を協議する「都議会のあり方検討会」は、原則『非公開』が決定…
http://otokitashun.com/blog/togikai/8841/

密室会議体の中で自分たちの都合の良いメンバーで、都合の良いことだけを決めて改革を先送りにしてきた挙句、

「知事より収入が上だとなれば、都議会に批判が集まりかねない」

などと言って知事報酬の削減案に反対しようものなら、さすがに都民の怒りは爆発するんじゃないかと思います。

なお私の所属する会派「かがやけTokyo」の3名は、まずは議員特権の象徴である「費用弁償」の廃止を強く求め、共産党などと共同で費用弁償の廃止(交通費相当の実費に置換)を求める条例案を提出してきました。

●そこまでやるか?!都議の1日1万円「費用弁償」、採決すらされず先送りへ… (2015年3月27日)
http://otokitashun.com/blog/daily/6861/
●1日1万円の都議会議員「費用弁償」見直し議案、またも採決されず「密室空間」送りへ…(2015年6月24日)
http://otokitashun.com/blog/togikai/7808/

こうした動きはこれまでも逐一、ブログにて皆さまに報告をさせていただいております(書いて残しておくものです)。

そしてこれらの提案・条例案を採決することすらせず、また同様に「あり方検討会」の議論の俎上にすらあげてこなかったのは、都議会自民党・公明党・民進党の議員たちです。

もちろん我々は改革派議員として、知事報酬の引き下げには賛成する方針です。

そしてこの知事提案を受けて、都議会サイドも早急に「あり方検討会」を再開し、費用弁償などの議員特権や議員報酬の金額について、見直しの議論をスタートするべきでしょう。

まだ都議選までは9ヶ月間ありますから、「時間がない」なんてことはありえません。定数是正で収束したかに見える「都議会のあり方検討会」ですが、最大会派である都議会自民党がその気にさえなれば、すぐにでも再開することが可能です。

そしてもちろん次回の「あり方検討会」は、フルオープンで都民の傍聴・マスコミ取材・ネット中継ありで行うべきです。そうすれば、1日1万円の費用弁償を擁護することなど、口が裂けてもできなくなりますからね。

お恥ずかしながらいまの都議会には「自浄作用」などはまったくなく、世論からの外圧なしに何も変わることはできないのがその実態と断言できます。

知事の身を切る姿勢をきっかけに、都議会の一層の閉鎖性が都民に知れ渡り、改革への世論が喚起されることを強く望むものです。

もちろん私も議会の中から、働きかけ・情報発信を続けて参ります。それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。

twitter
Facebook
LINE