長期金利が2.1%に急騰:円安止まらず調整役不在の日本経済

日銀の追加利上げ決定後も円安と国債売りが止まらず、国内金融市場ではインフレ加速と財政悪化への警戒が一段と強まっている。長期金利は歴史的水準に達し、市場は金融・財政両面での政策対応に厳しい視線を向けている。

  • 12月22日の国内債券市場では国債売りが優勢となり、新発10年物国債利回りは一時2.1%まで上昇し、約27年ぶりの高水準を記録した。
  • 背景には円安の進行があり、外国為替市場では1ドル=157円台で推移し、円安による輸入物価上昇とインフレ圧力への懸念が強まっている。
  • 日本銀行は19日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%に引き上げたが、市場では利上げペースがなお緩やかにとどまるとの見方が広がり、円売りと国債売りが続いている。
  • 債券市場では、円安インフレを抑えるため日銀が今後さらに利上げを加速させるとの観測が浮上し、長期金利だけでなく中期債利回りも大きく上昇している。
  • 一方で、日銀の植田和男総裁は利上げ継続の姿勢を示したものの、具体的な時期や中立金利の水準には踏み込まず、市場が期待した積極的な金融正常化の印象は後退した。
  • 金利上昇を加速させている要因として、政府の拡張的な財政政策への警戒も大きい。高市早苗政権が26日に閣議決定する見通しの2026年度予算案は、一般会計総額が過去最大規模となる可能性が伝えられている。

  • 国債増発への懸念から、将来的な利払い費の急増や政府債務の持続性に対する不安が強まり、インフレ抑制の「火消し役」が見えないとの見方が市場に広がっている。

  • 株式市場は米国株の持ち直しや円安による企業収益改善期待を背景に堅調だが、金利上昇が内需を冷やし、財政拡張が続けば調整局面に入る可能性も指摘されている。
  • 市場関係者の間では、実質金利が均等化すれば長期金利が4〜5%に達するとの見方もあり、その場合、国債利払い費が急増し財政運営が立ち行かなくなるとの懸念が出ている。

日銀の利上げ後も円安と国債売りが止まらず、インフレと財政膨張への警戒が同時に強まっている。金融政策だけでなく財政引き締めを含めた一体的な対応が示されなければ、円相場と金利が大きく振れる不安定な状況が今後も続くとの見方が強い。

高市首相(自民党)と植田総裁 日本銀行HPより