「モンロー主義」ならぬ「ドンロー主義」を掲げ国際政治の場で大国アメリカの利益確保に走るドナルド・トランプ大統領。国際社会の「不文律」を破りまくり、新たな世界秩序を作ろうとして行動しているのか、個人的な「暴走」なのか、それは歴史が評価することだが、具体的には、
- ベネズエラへの空爆、大統領の拘束
- グリーンランドの割譲要求
- 多くの国際機関からの脱退
- ガザへのイスラエルの侵攻は見て見ぬふり
トランプ後の国際政治は混沌におちいっていると言っていい。中間選挙を見据えてか、軍事力の行使を否応なく進めている。
実業家からテレビパーソナリティ、そしてアメリカ合衆国大統領へと至る非常にユニークで波乱に満ちた男、トランプ。人々の感情を揺さぶるノリの良さを示しつつ、ウクライナの大統領と口論したり、はちゃめちゃな行動もあるような矛盾に満ちた面も多い。ノーベル賞を本気で目指しているのかもほんとうのところわからない。
「経営者」「交渉人」として強引に「Deal」(交渉事)とする場面では力を発揮するが、ビジネスと政治は違うことに気づかないのは残念なところだ。
こうしたリーダーが上司に来たらどうするか?が今回のテーマである。
改めてトランプさんの経歴を振り返ろう。

筆者作成
やりたい放題の暴君?
1946年6月14日の79歳。ニューヨーク州ニューヨーク市クイーンズ区で、ペンシルベニア大学卒。祖父はドイツ西部のカールシュタット出身で、アメリカに移住し、ビジネスで成功した人物であり、裕福な家庭に生まれる。
1971年、父の不動産会社を継承した「トランプ・オーガナイゼーション」は高層ビル、ホテル、カジノ、ゴルフ場などを開発。経営者として名をはせる。失敗も多かったが「不動産王」として評価を受ける。リアリティ番組で知名度を高めるなどしてきた。
第45代、第47代アメリカ合衆国大統領に就任。政治スタイルは「アメリカ・ファースト」を掲げたポピュリズム・保護主義・ナショナリズムであり、SNSを積極活用し、その「問題」発言が常に話題になる人物である。
ドナルド・トランプ氏のリーダーシップの特徴は3つ。
① 結果重視・効率優先
プロセスより成果を重視していて、最短ルートで目標達成を目指す。手法は問わない。
② 交渉こそすべて
すべての関係を「ディール(取引)」として捉える。相手に譲歩を促すために、予測不能な行動を戦略的に使う(マッドマン・セオリー)、直感的・トップダウン型の意思決定。迅速な決断を重視するが、一貫性に欠けることも。
③ カリスマ性と自己ブランディング
強い自信と確信に満ちた発言。メディア戦略に長けており、自己ブランド「TRUMP」を強く打ち出す。「MAGA」(Make America Great Again)などのキャッチフレーズで人々の心に訴えかける手法もさすがである。
もしトランプ氏が上司だったらどうなるか?
もし、皆さんの職場で、こうした「トランプ型」の上司がいた場合、どう対応するか?
意思決定が早く、即興かつ柔軟に対応し、変化に迅速に対応できるカリスマでもある。しかし、彼のような人が上司だったら・・・と想像すると胃が痛くなるもの。プレッシャーや圧力をかけてくるし、要求はするし、かなり面倒くさい上司である。とはいえ、たたき上げではない2世なので、確固たる理念や知見もあるものでもない。気分屋でもある。
- スピード感を持って動ける
- 上司を立てるのが得意、上司に対して率直に意見を言いたい
- 明確に、はっきり自信をもって発言する
ような人は心配しなくてもいいが、多くの人はそうではない。
まずは、彼を理解してあげることだろう。筆者は、心理テスト、テキストマイニング、声診断といった技術で行うことが多い。やはり相手を知らないと何もできない。

筆者作成
そして、トランプ型上司への対応法(部下としての立ち回り)は、
① 嘘やごまかしは逆効果:誠実に、正直に、筋を通して話す
② 感情ではなく論理で:冷静に「数字」「成果」「損得」で語る
③ 相手の視点で:提案する際は「相手にとってのメリット・リスク」を明確にする
④ 方針転換や突然の指示変更があるため:柔軟性と準備力が必要。予測不能な言動に備える
といったことが求められるだろう。人は自分と同じ行動をとる人を好むもの。信頼を得るためには何が必要か、自明なはずだ。
ただし、トランプ型上司に過度な迎合はまずい
基本、承認欲求が強いので、称賛や評価をして状況条項で対応するしかない。「無茶ぶり」のような指示命令が突然おりてくることが日常なので、普段は、「褒め言葉」で調子に乗らせつつ、彼の突飛なアイデアを評価しつつ、冷静な分析視点でやり過ごすしかないだろう。もちろん、報告の前に「ゴマすり」「賞賛」的な言葉を添えると会議が円滑に進むはず。
しかし、トランプに面従腹背、迎合しすぎるのもどうかと思う。相手を見ているトランプなので、忠誠心には敏感で、筋が通っていない人は嫌う。過度な迎合は見透かされるので注意が必要だろう。
トランプの単なる従順なイエスマンではなく、ある程度、恐れられる必要もあるのだ。つまり、こいつは「できるな」と思わせることがポイントである。忠誠心は示すが、媚びない姿勢で、できる限り対等に近い関係を築けることを目指すべきだろう。倫理観やルールを逸脱する場合は、そのリスク論理的に感情を抑え冷静に伝えることが大事だ。
嫌な上司であっても、トランプ型上司が来たら、何かしら対処せざるを得ない。トランプ型上司を育ててあげる、くらいの気持ちでいこうか。






