海外メディア「眠っていた巨人(日本)が目を覚ました」

ドイツ民間放送ニュース専門局n-tvのユリアネ・キッパー記者は9日、「日本に全く新しい時代が始まろうとしている」という見出しで東京株式市場の活況について興味深い記事を報じていた。「アナリストによると、日本の株式市場は単なる史上最高値更新以上のものを経験しつつある。ゲームのルールの変化が、日本を長期的に投資家にとって魅力的なものにしている。市場専門家はこれを新時代の幕開けと見ている」と報じ、「眠れる巨人が目覚めた」と語った経営コンサルティング会社アルゴン・アンド・カンパニーのマーティン・ガイスラー氏のコメントを紹介し、「史上最高値は、日本が世界の舞台で戦略的に重要な地位に復帰したことを意味する」と述べている。

高市総理は、官邸でシーシー・ウェイ・TSMC(台湾積体電路製造)会長兼CEOによる表敬を受けた。2026年2月5日、首相府公式サイトから

株式市場の動向は当方には専門外の世界だが、専門家が「眠っていた巨人が目を覚ました」という「黙示録」的な表現に出会い、「高市早苗首相の衆議院選の大勝が経済・金融界にとって驚きと共に期待が込められている」ことを改めて知った次第だ。

以下、キッパー記者の日本経済と国民を鼓舞するような経済記事の概要を可能な限り紹介する。

ガイスラー氏の評価によると、この景気回復は主に国内半導体産業の復活によるものだ。世界有数の半導体メーカーであるTSMCは、日本工場の予算を170億ドルに増額した。これは前例のないことだ。ドイツに計画中の工場とは異なり、TSMCは日本で最先端のハイテク半導体を生産する予定だからだ。

メインスカイ・アセット・マネジメントのCEO兼ポートフォリオ運用責任者であるエックハルト・シュルテ氏もガイスラー氏の見解に賛同し、「銀行セクターと伝統的産業も株式市場を大きく押し上げている」と付け加えている。シュルテ氏の見解では、史上最高値は持続的な好調さを示している。「重要なのは、日本経済が再び力強い名目成長を経験し、デフレは克服されたように見えることだ」という。

高市首相率いる自由民主党は、連立相手である「日本維新の会」と合わせて、衆議院で3分の2の多数派を占めた。これにより、参議院の決定を覆すことさえ可能となる。高市氏は、景気刺激対策として政府支出の拡大を主張する一方で、金融緩和政策も支持することで知られている

シュルテ氏によると、この圧倒的勝利は市場の信頼獲得に不可欠だ。今後数年間は政治的な透明性が確保される。ガイスラー氏は「明確な多数派は、株式市場にとって常に良いことだ。このような異例の多数派政権は西側諸国の民主主義国家では非常に稀だ。これは大きな信頼を生み出す」と語る。

自民党の勝利後、国債残高の増加を懸念して円は当初下落した。円は最大0.3%下落し、1ドル=157.72円となった。7日連続の下落となり、2週間ぶりの安値となった。日銀による介入の可能性が報じられた後、円は持ち直している。

シュルテ氏によると、円安は上昇の要因ではあったが、決定的な要因ではなかった。ガイスラー氏も「円安は触媒となったものの、もはや原動力ではない」と述べている。エネルギーと農業を輸入に大きく依存する国にとって、過度に弱い通貨はリスクを伴うが、現在の上昇はこうした要因とはほとんど無関係だと見ている。戦略的に見ると、日本は世界のテクノロジー業界にとってなくてはならない存在となっているため、適度な円高では直接投資の魅力が損なわれることはまずないという。

シュルテ氏とガイスラー氏は、過熱の兆候を見るどころか、さらなる上昇の余地があると見ている。ガイスラー氏は「日本株は長年にわたり根本的に過小評価されていた。今起こっているのはバブルではなく、数十年にわたる放置の後、遅きに失した市場調整だと確信している」という。

シュルテ氏は、欧州や米国と比較して、日本は投資家にとって魅力的だという。日本市場は間違いなくポートフォリオに組み込む価値がある。「特に欧州と比較して、日本は多くの構造的な優位性を持ち、経済政策においてもはるかに柔軟性が高い」。しかし、彼はまた、最大のリスクは明らかに日銀と債券市場であると指摘する。「日銀がより迅速に金利を引き上げざるを得なくなった場合、あるいは債券市場が新たな債務負担によって利回りを急上昇させるような事態になれば、株式市場は差し迫った危機に直面するだろう」という。ガイスラー氏は日本を「極めて魅力的」とさえ評している。「日本は、米国のような産業の深みと優れた技術力に加え、ワシントンやブリュッセルでは現時点で考えられないような政治的統一性も備えている」と指摘した。

日本経済は、1990年代の大規模な不動産・株式バブルの崩壊後、長年にわたる停滞に見舞われた。デフレ、低成長、不動産価格の下落、そして不良債権を抱える銀行危機が顕著だった。ガイスラー氏によれば、数十年にわたる経済的周縁化を経て、日本はアジアにおける西側諸国の「最後の安全地帯」としての地位を確立しつつある。「日本はかつての無気力状態を脱し、自らを変革した。米国との緊密な協力とハイエンド製造業への巨額投資を通じて、日本は問題児から不可欠な避難所へと変貌を遂げつつある」という。

日本経済の未来に期待するガイスラー氏だが、「短期的に上昇局面を終わらせる可能性のある最大のリスクは、この地域における軍事的エスカレーションだ。台湾周辺や南シナ海における軍事的エスカレーションは、市場環境を根本的に揺るがすだろう」と述べることを忘れなかった。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年2月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。