下水道「一律維持」にいよいよ終止符:自治体判断で浄化槽転換へ法改正

国土交通省が、人口減少が進む地域で下水道を廃止し、各家庭の浄化槽による個別処理へ転換できるよう法改正を進める。老朽化と利用者減少で維持が困難になる中、インフラを現実に合わせて再設計するやむを得ない措置だ。各社報道を総合すると、背景には自治体財政の逼迫と担い手不足という構造問題がある。

【参照リンク】下水処理、人口減地域は家庭ごとに 自治体判断で切り替えへ法改正案 日経新聞

  • 政府は下水道法などを改正し、既に整備された地域でも自治体判断で管路の廃止・縮小を可能にする方針で、2026年内の施行を目指している。
  • 従来は住民同意の取得が高いハードルとなっていたが、改正後は利用者への説明と各戸での浄化槽整備を条件に、廃止区域や時期を自治体が決定できる仕組みに見直す。
  • 人口1万人未満の自治体では、汚水1立方メートル当たりの処理費が大都市より大幅に高く、利用者減少で料金収入も落ち込む中、下水道の維持更新が重い負担となっている。
  • 人口減少や都市機能の集約が進む地域では、集合処理よりも浄化槽による分散処理の方が費用対効果に優れるケースがあり、国は転換が経済的な場合に撤去費用を補助する制度を2025年度に開始した。
  • 全国では既に約1175万人が浄化槽を利用しており、静岡県南伊豆町では一部地域で下水処理場を廃止して浄化槽へ転換するなど、先行事例も出ている。
  • 埼玉県八潮市で発生した老朽管による道路陥没事故を受け、下水道インフラの老朽化対策が喫緊の課題となっており、限られた財源を効率的に配分する必要性が強まっている。
  • 改正案には、管路管理の広域化や都道府県による一体管理を可能にする特例も盛り込み、小規模事業体の執行体制を強化する。
  • 「インフラ後退」との驚きや不安の声もある一方、「人口減少社会では合理的な選択だ」との理解も広がっている。

人口減少が続く日本において、すべての地域で従来型の下水道を維持することは現実的ではない。集合処理と分散処理の最適な組み合わせを探る今回の法改正は、地域の実情に応じてインフラを縮小・再編するための制度的整備ともいえる。

下水処理場の例。松山市下水道中央浄化センター Wikipediaより

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