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国立大学などで、出願を女性のみに認める受験枠「女子枠」の導入が広がる中、国内唯一の公的パイロット養成機関である航空大学校でも検討されていた「女性枠」(以下、まとめて「女子枠」という)の27年度入試での実施が見送られることになった。

時事通信(2月26日配信)によると、航空大学校は2027年度入試で予定していた新たな女子枠の導入を見送る方針を決めた。報道によれば、背景には、定員拡大の影響で訓練待機学生が増え、訓練運営への対応を優先せざるを得ない事情があるという。
国土交通省は、航空大学校に関する施策として、入学要件の見直しや女性枠の設置などを検討してきた。国交省のWG取りまとめ概要でも、航空大学校について「女性枠の設置」が方向性として明記されている。
一方で、女子枠をめぐっては、選抜の基準や公平性への懸念から、現役パイロットをはじめとする業界関係者や専門家、市民などから不安の声や「憲法違反」「差別」といった批判の声が上がっていた。時事通信によると、国交省案には、筆記試験を課さず書類選考や面接で評価する試験区分を設け、その一部を女性向けとする案が盛り込まれていたという。

女子枠をめぐっては、主に法学者から、憲法14条(法の下の平等)との緊張関係や憲法違反の疑いが多数指摘されている。また、欧米先進国においても、多くの国で女子枠のような教育機関での性別クォータは違法な性差別として原則禁止とされている実情がある。
今回の先送りは、表向きには訓練体制上の事情への対応だとしても、実質的には、女子枠が抱える公平性・憲法適合性の問題を制度設計の段階で無視できなかったことを示したとみる動きもある。時事通信によれば、航空大学校は今後「公平性も考慮した入試制度を検討する。」という。
なお、筆者の取材に対して、航空大学校広報担当者は2028年度入試以降の女性枠の実施については引き続き検討を続ける方針だと述べた。
航空大学校の27年度女子枠見送りを受けて、女子枠に反対している東京大学学生らによる団体「UTokyo Students For Fair Admissions」は、X(旧Twitter)にて「差別的な制度が見直されたことを喜ばしく思います。今後の動向を注視してまいります。」と声明を発表している。
パイロット養成という能力本位であるべき領域に、性別による枠設定を持ち込むことの是非が、あらためて問われている。







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